研究課題/領域番号 |
15K09903
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
山本 文彦 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40253471)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分子イメージング / 放射性標識合成 / 腫瘍 / PET / SPECT / マウス / インビボ / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
腫瘍認識能の向上を期待する改良として、効率的にラクトソーム表面に葉酸基を導入して腫瘍認識能を付加することを検討した。ポリ乳酸(PLLA)34merとポリサルコシン(PSar)61merからなる両親媒性ポリマー(PLLA34-PSar61)を合成しそのPSar末端NH基に、活性エステル基を有する葉酸を十分な量を加えDMSO溶液中で反応させ94%の修飾率で効率よく両親媒性ポリマーに葉酸を導入したことを確認した。さらに葉酸修飾ラクトソームにI-125標識ポリ乳酸を内包させるRI標識化を検討した。スズ前駆体をNa[I-125]Iと反応させて得たI-125標識SIBとPLLA28-NH2とを反応させて放射化学的収率6%でI-125標識BzPLLA28を得、フィルム化した葉酸修飾両親媒性ポリマーとともに水溶液中で加温下超音波照射し粒子化を行った。サイズ排除カラム解析の結果ラクトソーム粒子と同じフラクションに放射能を認め、葉酸修飾ラクトソームのI-125標識体を得ることに初めて成功した。 生体内安定性向上を期待して、ラクトソームを構成する両親媒性ポリマーへの放射性標識としてPSar末端への放射能導入を検討した。PLLA34-PSar61のPSar末端に1分子のグリシンを導入し末端をNH2基とした。I-125標識SIBと末端NH2両親媒性ポリマーとをアセトニトリル中100℃で30分間反応させて溶媒留去後、水を加えて加温下超音波照射し粒子化した。サイズ排除カラム解析の結果、ラクトソーム粒子と同じフラクションに放射能を認めたことから、ラクトソーム本体をI-125で標識することに初めて成功した。標識率12%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は29年度に計画していたfolate基導入の検討を先に行ったが、効率的な導入法や放射性標識合成法に一定の目途がついた。また、これまで課題であったラクトソームPSar末端への放射能導入に成功し、さらにこの手法はラクトソーム表面への機能性ペプチド分子導入にも応用が可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
葉酸修飾ラクトソームについて効率的放射性標識法を確立するとともに、腫瘍集積性の評価をインビトロ、インビボの両面から検討する。特にラクトソームの粒子径や葉酸修飾の割合を調整し、腫瘍への集積性やステルス性の保持を評価していく計画である。 生体内安定性向上を期待した放射性標識ラクトソームについては、PSar末端への放射能標識収率を向上させる最適条件を検討するとともに、ラクトソームの粒子径や放射性標識両親媒性ポリマーの割合を調整しながら腫瘍への集積性やステルス性の保持を評価していく。そしてヨウ素123標識化への適用とSPECT評価に繋げていく計画である。 またPSar末端への機能性ペプチド導入の検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラジオアイソトープ施設のγカウンター更新に伴い全般的に研究計画予定が遅れ、なおかつ研究計画の順番を変えたため、29年度に購入予定であったフラクションコレクターを28年度に購入し、28年度に購入予定であった溶媒留去装置の購入を遅らせることにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度に計上していた溶媒留去装置について、予定していたエバポレーターに代えて化合物にとって最適な条件で留去できる凍結乾燥装置を29年度早期に導入予定である。また評価実験として病態モデルを用いたインビボ評価を計画しており、細胞培養や実験用動物、放射能購入に使用予定である。
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