研究課題/領域番号 |
15K09906
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
町田 治彦 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70439834)
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研究分担者 |
中岡 隆志 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80241256)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 二重エネルギーCT / 冠動脈CT / 非石灰化プラーク / 物質弁別画像 / 実効原子番号 |
研究実績の概要 |
心電図同期高速スィッチング方式二重エネルギー冠動脈CT (DECT)では任意の二つの物質を基準とした物質弁別画像を取得できる。また、実効原子番号を用いた詳細な成分分析も可能である。 物質弁別画像を用いた冠動脈石灰化除去能の評価について、通常の冠動脈CTでは冠動脈石灰化が高度なため判定困難であった病変を対象として、ヨード(造影剤)と大部分の冠動脈石灰化の主成分と我々が考えているシュウ酸カルシウムを基準とした物質弁別画像の有用性を検討した。本画像により冠動脈石灰化除去が可能であり、冠動脈造影と対比すると、依然として判定困難であった病変もあったが、大半は判定可能となった。また、冠動脈狭窄の診断能も改善することが判明した。 非石灰化プラークの性状評価に基づく不安定プラーク検出能の評価について、安定狭心症または冠動脈疾患疑いでDECTと血管内超音波の両方が行われた症例を対象として、従来のCT値による検出に対する実効原子番号による検出の有用性を検討した。冠動脈の非石灰化プラークを血管内超音波で富脂質性または線維性プラークに分類し、DECTでそれらのCT値と実効原子番号を計測し両者のプラークで比較すると、実効原子番号の有用性が示された。この結果に関して、第80回日本循環器学会 (2016年3月、仙台)で Effective Atomic Number in Differentiation of Non-calcified Plaques in Coronary Dual-energy Computed Tomography (Shun Nakajima, Haruhiko Machida, Kazuhiro Matsui, Tetsuya Mitsuhashi, Hisako Omori, Yutaka Kubo, Takashi Nakaoka)として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
石灰化プラークの成分分析と主成分の同定について、ゴールドスタンダードとして妥当な方法の調査や協力体制の調整などにやや時間を要した。これに伴い、石灰化プラークの成分分析に影響しうる要因のファントムを用いた検討や石灰化プラークの主成分の違いがもたらす臨床的意義の検討についても、まだあまり進行していない状態である。
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今後の研究の推進方策 |
石灰化プラークの成分分析と主成分の同定について、ゴールドスタンダードとしてX線回折やラマン分光解析などが妥当と考えている。研究分担者(中岡)による協力体制の調整もほぼ完了した状態であり、平成28年度よりこのテーマを推進していく予定である。これに伴い、石灰化プラークの成分分析に影響しうる要因のファントムを用いた検討や石灰化プラークの主成分の違いがもたらす臨床的意義の検討についても、研究の推進が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
石灰化プラークの成分分析と主成分の同定について、ゴールドスタンダードとして妥当な方法の調査や協力体制の調整などにやや時間を要した。これに伴い、石灰化プラークの成分分析に影響しうる要因のファントムを用いた検討や石灰化プラークの主成分の違いがもたらす臨床的意義の検討についても、まだあまり進行していない状態である。そのため、ファントム作成や実験も未施行である。 当初、平成27年度に血管内超音波画像定量解析システム(INDEC EXIST, Boston Scientific社)を購入予定であったが、現在、その是非は検討中である。
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次年度使用額の使用計画 |
石灰化プラークの成分分析と主成分の同定について、ゴールドスタンダードとしてX線回折やラマン分光解析などが妥当と考えている。平成28年度より、これらの解析の費用が必要となる予定である。また、平成27年度にできなかったファントム作成や実験も施行予定である。
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