研究実績の概要 |
心電図同期高速スィッチング方式二重エネルギー冠動脈CT(DECT)では任意の二つの物質を基準とした物質弁別画像を取得できる。また、実効原子番号を用いた詳細な成分分析も可能である。 物質弁別画像を用いた冠動脈石灰化除去能の評価について、通常の冠動脈CTでは冠動脈石灰化が高度なため判定困難であった病変を対象として、ヨード(造影剤)と大部分の冠動脈石灰化の主成分と我々が考えているシュウ酸カルシウムを基準とした物質弁別画像の有用性を検討した。本画像により冠動脈石灰化除去が可能であり、冠動脈造影と対比すると、依然として判定困難であった病変もあったが、大半は判定可能となった。また、冠動脈狭窄の診断能も改善することが判明した。平成30年度はこの知見の論文化を進めている。同時に、X線回折やラマン分光解析などを施行し、冠動脈石灰化の成分分析と主成分の同定も進めている。 一方、透析症例の冠動脈石灰化についても実効原子番号による成分分析を行い、シュウ酸カルシウムが主成分と考えられた。これは血液透析症例と腹膜透析症例で有意差を認めなかった。この結果に関して、Therapeutic Apheresis and Dialysis誌でCompositional analysis of coronary artery calcification in dialysis patients in vivo by dual‐energy computed tomography angiography(Yoko Nishizawa, et al.)として論文報告した。この際、腕頭動脈や大動脈弁の石灰化の成分分析なども行い、X線回折の結果と比較してDECTによる実効原子番号解析の妥当性を検討した。
|