研究課題/領域番号 |
15K09907
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
的場 宗孝 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90288308)
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研究分担者 |
辻 裕之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00155368)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 放射線治療 / 機能画像 / perfusion CT / biomarker |
研究実績の概要 |
今年度は、進行頭頸部癌患者の放射線化学療法前のperfusion CT(以下PCT)をルーチン化し、症例数の蓄積を行った。また、可能な限り、治療期間中のPCTの撮像も併せて行った。PCTの解析方法も原発および頸部リンパ節を対象に決まった方法にて解析を加え、データの蓄積と保存を行っている。また、患者経過観察もルーチン化され、定期的な専門医による診察と視診、定型的な画像検索にて厳重follow-upを行っている。 今年度の研究成果として、一つ目は昨年度から蓄積した症例で評価した頸部リンパ節転移診断におけるPCTの評価法の検討に、ある程度の結論が得られ学会や論文発表を行えたことがある。頸部リンパ節のPCT評価を行う際は、リンパ節のサイズが問題で、径10mmを超えるような腫大リンパ節においては、転移リンパ節ならば内部壊死の存在にてリンパ節の血流は正常リンパ節の血流よりも統計的な有意差はないものの相対的に低下する。しかし、10mm未満の転移リンパ節では壊死の影響を受けにくく、正常リンパ節に比べて、blood flow、blood volume、permeabilityの有意な上昇を認め、頸部リンパ節の良悪性鑑別の一助に成り得ると考えている。 二つ目の成果として、まだ完全にデータをまとめきっていないが、傾向としてPCTによる原発病変の検出能は、PET-CTやMRI拡散強調画像などの他の機能画像よりも優れている可能性があることが分かったことである。このPCTの優位性は、将来的に放射線治療計画を行う際の領域設定に役立つ可能性を秘めている。また、PCTはCTベースの画像であり、MRIのような画像のゆがみやPET画像にみるような閾値設定の違いによる異常集積範囲の違いも無く、放射線治療計画に適していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的は、放射線化学療法の開始前あるいは治療期間中のPCTパラメータの変化が治療効果や予後の予測に有意性があることを明らかにすることである。その為には、少なくとも治療後2年以上の経過観察が必要であり、今年度は症例の蓄積を行うことが最重要課題であった。症例蓄積は順調に進んでおり、また対象症例のfollow-upもしっかりと行われており、研究全体から見てもおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、現在までに蓄積し経過観察している対象症例のPCTデータの解析を進めることで、解析は、定性的評価と定量的評価を行う予定である。定性的評価は、PCT画像とMRI拡散強調画像およびPET-CTで描出される病巣範囲のvolumeを計測し対比を行う予定である。さらに、頸部リンパ節所見の対比も行う予定である。定量的評価は、PCTのパラメータ計測を行い、治療効果との関連性において統計学的解析を行う予定である。さらに、PCTのパラメータとMRI拡散強調画像のADC値、PET-CTのSUVなどの定量的指標との多変量解析も行っていく予定である。
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