本研究期間内で、perfusion CTが、頭頸部癌の化学放射線療法に対し有効性を認めることができたことは、①頸部転移リンパ節診断能向上への有用性:perfusion CTの定量的パラメ-ターのうち、blood flow(BF)、blood volume(BV)、permiability surface product(PS)は転移リンパ節の最大径10mm以上のリンパ節と10mm未満のリンパ節の間で有意差を認め、これらのパラメーターは、転移リンパ節の径と負の相関関係にあった。また、転移リンパ節群と良性リンパ節との比較のおいて、最大径10mm未満のリンパ節群で、BFに有意差を認めた。10mm以上のリンパ節群ではmean transit time(MTT)に有意差を認めた。最終的に、これらのperfusion パラメーターの転移リンパ節診断における単変量・多変量解析の結果、最大径10mm未満のリンパ節群で、BFのみが有意因子であり、ROC解析における閾値での診断能は、感度73.3%、特異度70.8%であった。以上の結果、perfusion CTの頸部リンパ節診断能は、他の画像の診断能を上回るものではないが、10mm未満の転移リンパ節の診断能に有意性が示唆された。②放射線化学放射療法の治療効果予測:現在、経過観察期間中であり、最終結果はまだであるが、傾向として、治療開始前に対する治療開始後3週間でのperfusion CTパラメ-ターの変化率で、BF、BV、PSで1未満、MTTで1以上を示した症例では良好な治療効果が得られている。尚、治療開始前のBF、BV、PSの値と治療効果との関連性は証明できなかった。さらに局所再発率や生存率とperfuionパラメ-ターの関連性は今後の検討が必要である。
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