研究課題
フルオロデオキシグルコースをトレーサーとしてポジトロンエミッショントモグラフィーを施行した患者において、冠状動脈に瘤が残存しているかどうかに注目し解析をし直した。川崎病後約20年を経過した遠隔期にも冠状動脈瘤の残存する患者 24例と、川崎病後急性期には冠状動脈瘤を形成したが、その後冠状動脈瘤の退縮した患者10例の2群に分けた。冠状動脈、上行大動脈、大動脈弓部、下行大動脈、腹部大動脈、総頸動脈、総腸骨動脈の各動脈壁局所でのフルオロデオキシグルコースの取り込みを計測した。この2群間で、患者の身長、体重、脂質プロファイルや耐糖能に関する血液検査所見、あるいは血管内皮機能や血管のプロパティーに関する各種指標を比較した。また、血管局所のフルオロデオキシグルコースの取り込みに相関する患者属性、血液検査あるいは血管機能について検討した。解析途中であるが、川崎病後冠動脈瘤の残存している患者では、冠状動脈と胸部大動脈で冠動脈瘤の退縮した患者に比して、フルオロデオキシグルコースの取り込みが亢進していたが、総頸動脈、総腸骨動脈、腹部大動脈では体動脈退縮例と有意差が無いことが発見された。また、フルオロデオキシグルコースの取り込みの程度は、急性期の冠状動脈瘤の大きさ=炎症の強さに相関し、冠イベントの発症とも関係したが、患者属性や血液検査、血管機能とは相関しなかった。一方、一人の患者の経時的観察では、冠動脈瘤壁のフルオロデオキシグルコースの取り込みは、スタチンにより減少し、スタチンを中止することで亢進した。また、ポジトロンエミッショントモグラフィーを施行した患者4例で、冠状動脈壁の評価のためMRIを撮影したが、FDGの取り込みパターンと異なる異常を認めた。
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J Nucl Cardiol.
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10.1007/s12350-018-1278-8