研究課題
本研究の目的は、肝細胞癌(肝癌)診断において、MRIの特徴である高い組織コントラストと、従来のMRIで困難であった高画質と高時間分解能を両立した撮像法を用いることで、肝癌診断に有用かつ低侵襲な診断法を開発することである。まず、radial VIBE法が従来のCartesian VIBE法に比して良好な画像が得られるかをボランティアを用いて検証した。その結果、radial VIBE法は体動の影響を受けにくく、肝ダイナミックMRI(DCE-MRI)において従来のCartesian VIBE法に比して、呼吸停止不良な場合でも高画質高時間分解能の画像を得ることができることが確認された。肝癌切除例におけるradial VIBE法を用いたDCE-MRIと経皮的肝動脈造影下cine CT(CTHA)との比較では、DCE-MRIの動脈優位相の約20秒間で3秒程度の時間分解能があれば、肝細胞癌に特徴的なコロナ濃染や腫瘍周囲低信号帯がCTHAに匹敵する程度に描出され、低侵襲なDCE-MRIにて詳細な画像所見が描出可能であることが証明された。腫瘍周囲低信号帯は被膜に相当すると予想されたが、病理所見との対比では必ずしも被膜とは一致しなかった。この腫瘍周囲低信号帯の原因については,現在,病理学的に各種の染色を用いて検討中であるが、この所見は肝切除後の再発率が低いことを予測できる指標であることも明らかとなった。さらに、radial VIBE法を用いたDCE-MRIより得られた高画質高時間分解能画像が腫瘍の鑑別に有用であることを証明するため、肝癌と胆管細胞癌の鑑別を目的に症例を集積した。現在、肝切除され病理標本とDCE-MRI画像の対比が可能な症例の集積が終了し、解析を進めているところである。
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Japanese Journal of Radiology
巻: 36 ページ: 295-302
10.1007/s11604-018-0720-9
INNERVISION
巻: 33 ページ: 23-25
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