研究課題/領域番号 |
15K09921
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片岡 正子 京都大学, 医学研究科, 助教 (10611577)
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研究分担者 |
金尾 昌太郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (80542216) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CEST / MRI / Breast / Cancer |
研究実績の概要 |
本年度は、評価に値する画質の症例の検討で、乳癌病変の周囲にAPT-CESTでの高信号が見られるという脳腫瘍等の報告とは異なるパターンの所見について、乳癌の周囲への影響や治療による反応との関連からまとめた知見を2016年5月の国際磁気共鳴医学会で発表した(昨年度に業績として報告)。 前年度の経験から、比較的脂肪の少ない乳房で画質が良好であり、逆に脂肪性の乳房では画質が不良であった。これに対して複数の改善法を検討したが画期的な改善は見られなかった。この結果を受けて、症例の対象から、脂肪性乳房で脂肪抑制が不均一な画質不良症例を除くこととした。また、撮影系の対策として、MR撮像装置メーカー側と議論を重ね、撮像枚数は少ないが短時間で撮影可能な改良された撮像シーケンスを開発した。撮影スライスはかなり限定されるが臨床の検査の負担を変えない範囲で撮影が可能である。初期のまとめからは周辺部のAPT-CEST高信号が明らかな症例の頻度は高くない(25%かそれ以下)と思われたが、改良されたシーケンスでの撮影では高信号の頻度はさらに低く、そのため症例数を十分蓄積して平成29年度内での解析と発表を予定している。 なお、CESTと併せて評価予定であった非造影MRI、具体的にはT2強調画像、T1強調画像、拡散強調画像においては、それぞれの有用性の検討が進み、それらの成果を国際学会で発表した。特にT2強調画像と拡散強調画像を併せることである程度診断を決定することができることが判明した。これらのDecision TreeにCESTの所見も組み込みたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果発表と並行する形で、撮像シーケンスの改良を図り、年度途中からは簡易プロトコールでの撮影を行うことができた。これによりアーチファクトの強かった症例につき改善がみられた。また、背景乳腺に見られた異常なAPT-CEST高信号は若干改善した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、初回撮影のAPT-CEST症例については追跡、短期予後の確認を行い、新しい撮像シーケンスでの症例についてはもう少し症例の蓄積を待った上で解析、学会・論文発表を予定している。また、APT-CEST画像に拡散強調画像、T2強調画像などをあわせた非造影MRIによる診断アルゴリズムの作成をめざす予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度、2年目は撮像方法の最適化と改善されたシーケンスの使用を行ったため発表などの機会は少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は最終年にあたるため、結果を解析し、積極的に成果を海外等に発表予定であり、そのために必要な論文・学会発表準備費を行うために使用する予定である。
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