研究実績の概要 |
乳腺MRIについては、拡散強調像やダイナミックMRIに重点を置き、2017年3月までに3テスラMRIで乳腺MRI検査が行われ、手術未施行例や画像不適切例などを除外した240例を対象に評価を行った。 拡散強調像は、通常の拡散強調像に加え、歪みの少ないRESOLVE diffusionを用い患側の高分解能拡散強調像の撮像を行い、詳細な内部性状評価が可能かどうかを検討した。 造影ダイナミックMRIについては、異なる時間分解能で撮像を行い(時間分解能10秒、30秒、85秒)、乳癌結節の辺縁性状や内部の造影効果について、高分解能の造影後T1強調像と比較検討を行った。 通常の拡散強調像のみでは小病変の検出や内部のADC値の評価が困難な症例も見られ、撮像時間は長くなるが、患側乳房の高分解能RESOLVE diffusionを追加撮像することで、病変の指摘や内部の拡散性状を詳細に評価できる症例があると思われた。 造影dynamic MRIでは、辺縁性状(spiculaやirregularity)、内部造影効果の不均一性(heterogeneity)とも時間分解能10秒のものは、30秒や85秒のものと比べ有意に劣っていたが、30秒、85秒の両群では辺縁性状や内部の造影効果、いずれも高分解能の造影後T1強調像と同等の評価が可能であった。時間分解能10秒の撮像では、より正確な時間信号曲線を描けるがデータ量も多く、造影パターンやピーク時間の評価は時間分解能30秒の撮像で問題ないと思われた。潅流画像から得られるその他の情報(Ktrans, Ve)も時間分解能30秒の結果は時間分解能10秒の結果と有意差はみられなかったが、85秒のデータでは10秒や30秒のものと比較し有意差が見られ、ダイナミックMRIは時間分解能30秒の撮像が至適タイミングであると思われた。
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