研究課題/領域番号 |
15K09931
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
福倉 良彦 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 准教授 (50315412)
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研究分担者 |
内匠 浩二 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 助教 (50535820)
袴田 裕人 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 医員 (20727565)
中條 正豊 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (00594631)
中村 文彦 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 助教 (00595738) [辞退]
井手上 淳一 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 助教 (50642617) [辞退]
吉浦 敬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40322747)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 切除不能膵臓癌 / 酸素代謝強調MR画像 / 放射線療法 / 化学療法 / 治療効果予測 / CT / PET / MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、 ①膵臓癌における嫌気性解糖系の検出を可能とする酸素代謝強調MR画像法を開発する。 ②酸素代謝強調MR画像法を含めたCTおよびMRI、FDG-PETによる包括的な切除不能膵臓癌の放射線または化学療法効果に対する予測方法を確立することであるが、 本年度は、酸素代謝強調MR画像法(BOLD MRI)の撮影パルスシーケンスの開発・適正化と解析法の開発を中心に施行し、本研究の基礎を作った。 BOLD MRIの撮影パルスシーケンスの開発に関しては、膵臓は解剖学的に対象が比較的小さく、呼吸や消化管の蠕動や近傍の消化管内空気の磁化率によるアーチファクトの影響を受けやすいなどの問題点を解決する必要があり、ボランティア撮像による検討の結果、至適撮像パラメータおよび息止めや経口造影剤の使用などにより、上腹部においても十分な画質のBOLD MRIが撮像可能であることが明らかとなった。従って、平成28年2月より、放射線または化学療法予定膵癌患者に対しマスクでの酸素10 L/min投与下BOLD MRIデータ収集を開始した。 画像的予測因子の解析法の開発に関しては、拡散強調画像のテクスチャ解析が膵臓癌と神経内分泌腫瘍との鑑別に有用であることを明らかにし、テクスチャ解析の治療効果予測への応用への基礎が出来たと考える。また、造影CTを用いた膵臓癌の細胞外液分画の半定量的数値を算出し、放射線治療効果との関連を検討した結果、造影CTによる細胞外液分画の半定量的数値は放射線治療を施行した切除不能膵癌の重要な予後予測因子であることが明らかとなった。このことは、平成28年4月に開催される第75回日本放射線学会総会にて発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的であった ①BOLD MRIによる酸素代謝強調画像撮影パルスシーケンスの開発・適正化と解析法の開発 はほぼ達成できたと考える。しかしながら、一部の金属などによる磁化率アーチファクトの強い症例や息止めの困難な症例においては画質が劣化することがあり、未だ未解決な部分も残っており、今後修正が必要である。 もう一つの ②膵癌患者でのデータ収集 は、平成28年2月から始まったばかりである。他診療科の医師との協力体制は出来ており、今後の円滑な症例登録が可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は予定通り、 ①目標対象を50例とし、組織学的に膵管癌と診断され、放射線または化学療法(ゲムシタビンとS-1)施行予定患者に対しdual energy 造影CT、MRI (dynamic造影、IVIM, kurtosis, BOLD)、FDG-PETを施行する。治療効果判定目的にて、治療開始1ヵ月後および3ヵ月後にenhanced CTを施行する。なお、生存確認も随時施行。 ②画像的予測因子と組織所見との関連の検討 ③画像的予測因子と治療効果および予後との関連 を実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫組織学的検査の細胞分裂や血管に対する抗体(MIB1, HIF 1, Glut-1, VEGF, EGF, CA9, CD34)および自動免疫染色とデータ解析補助に対して予算執行を予定していたが、本年度は、画像データ解析の開発を中心となったために、免疫組織学的検査は次年度以降に変更となった。
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次年度使用額の使用計画 |
画像的予測因子と組織学的所見との関連を明らかとするために、次年度以降、画像データ解析の結果を確認した後、組織学的検査内容を吟味し、免疫組織学的検査の細胞分裂や血管に対する抗体および自動免疫染色とデータ解析補助に対して使用する予定である。
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