研究課題/領域番号 |
15K09934
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
甲斐 倫明 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (10185697)
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研究分担者 |
小野 孝二 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (10611171)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CT検査 / 被ばく / 検査理由 / 放射線リスク |
研究実績の概要 |
小児CT検査と小児白血病と脳腫瘍との関係を放射線以外の観点から検討を進めるために、CT検査を受けた理由に注目し分析した。逆因果の可能性を分析するとともに小児CT検査の正当性について検討を行ってきた。12.75年間の放射線検査所見システムを利用することで、3回以上のCT検査を受けた小児の割合は、CT検査全体のうち8.5%であった。3回以上受けた小児の検査理由の関連を分析した結果、急性リンパ性白血病と診断された小児が偶発的に頭部CTを受けていた事例のみ関連が認められなかったが、他のすべての事例は関連した理由で検査を継続していることがわかった。検査理由を4つのカテゴリー(外傷、腫瘍、炎症、その他)に分けて分析した結果、外傷は検査回数が多くなると共にその頻度は低下した。しかし外傷以外の疾患で検査を継続している事例では検査回数が10回以上に及ぶ頻度が多くなる傾向を示した。年齢別に見ると、外傷による検査は年齢に依存しなかったが、他の疾患では低年齢の小児ほど頻度が多くなる傾向を示した。疾患別に見ると、水頭症、虫垂炎、後腹膜神経芽細胞腫が多かった。これらの複数回CT検査を受けている小児の検査理由は最新の英国の報告とも一致する。検査回数が多くなるのは腫瘍であり、一定の検査間隔で長期にフォロー検査が行われていることを示した。これらの結果から、検査回数とCT被ばくのリスクを考える上で、偶発的に受けることになる外傷によるCT検査は10回を超えることはまれであり、これらの小児に限定して回数とがんリスクとの関連を調べていくことの必要性が示唆された。検査回数が10回以上と多くなるCT検査は疾患の経過観察であることから、リスクベネフィットの観点からCT検査が正当化される検査であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果は国際会議に報告するとともに、結果をまとめた論文を作成し投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究結果は国際会議に報告するとともに、結果をまとめた論文を作成し投稿準備中である。本研究から示唆された点を次の研究に発展させるための研究にとりかかっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年5月下旬に開催されるアジアオセアニア地区放射線防護国際会議に口頭発表を行うための旅費として使用する。
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