小児CT検査に伴う放射線被ばくと小児白血病と脳腫瘍の発症の関係についての疫学調査が行われているが、検査理由の情報が欠けているために、逆因果の可能性が指摘されてきた。そこで、本研究では、500床規模の総合病院で12.75年間に実施されたCT検査記録を分析し、検査理由を調べた。3回以上のCT検査を受けた小児の割合は、CT検査全体のうち8.5%であった。10回以上受けた小児が0.8%いた。この主な検査理由は水頭症であった。3回以上受けた小児の検査理由の関連を分析した結果、急性リンパ性白血病と診断された小児が偶発的に頭部CTを受けていた事例のみ、検査同士に関連が認められなかったが、他のすべての事例は関連した理由でフォローアップの検査を継続していることがわかった。年齢別に見ると、外傷による検査は年齢に依存しなかったが、他の疾患では低年齢の小児ほど頻度が多くなる傾向を示した。疾患別に見ると、水頭症、虫垂炎、後腹膜神経芽細胞腫などが多かった。患者の23.3%は外傷を理由としていて、逆因果の可能性が排除される対象となる。外傷以外の検査理由では水頭症が、疾患の経過観察で検査回数が10回以上となる傾向があり、頭部の累積線量が多くなる可能性が高い。しかし、リスクベネフィットの観点からCT検査が正当化される検査であることを示唆した。これらの結果から、検査回数とCT被ばくのリスクを考える上で、偶発的に受けることになる外傷によるCT検査は10回を超えることはまれであるが、これらの小児に限定して回数とがんリスクとの関連を調べていくことの必要性が示唆された。
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