研究課題/領域番号 |
15K09935
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
藤原 俊朗 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60405842)
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研究分担者 |
和田 司 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (00275570)
別府 高明 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70275543)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MRI / DWI / IVIM |
研究実績の概要 |
本研究では、拡散強調MRI(DWI)信号に含まれる灌流および拡散などの全情報の統合的解析法を開発し、大脳水拡散現象を基軸とした新たな完全無侵襲病態診断法の開発を目指している。初年度である本年度は、以下を2点を予定していた: 1. IVIMパラメータの正常値を明らかにする、本学ヒト用超高磁場7TMRIと共同研究施設動物用超高磁場11.7TMRIにおいて最適なIVIM-DWIパラメータを設定し、健常者および健常ラットの撮像を実施すること 2. 取得されたIVIM-DWIデータを解析するためにプロトタイプ・ソフトウェアへの機能追加と高速化を実施すること 結果として、ヒト用7TMRIでは健常者6例、動物用11.7TMRIでは健常ラット14例の撮像を実施した。画質評価を行ったところ、健常者は全6例、健常ラット14例中7例で良好なデータ取得に成功していた。また、ソフトウェア開発では、脳領域抽出、興味領域配置、IVIMパラメータ推定を全自動で可能とし、その高速化(プロトタイプに比べ約18倍)も実現した。健常者および健常ラットのIVIM-DWIデータ取得に成功したため、次年度の予定であった慢性主幹動脈狭窄・閉塞性症例の撮像と、両側頸動脈閉塞ラット作成も同時並行で試みた。結果、慢性脳虚血症例は12例で撮像を実施し、ラットは両側頸動脈の結紮を施行した14例のうち、急性期:7例、亜急性期~慢性期:4例にて継続的なIVIM-DWIデータの取得に成功した。現在、ラットデータについては、すでにIVIM解析を終え、パラメータの変化について論文報告を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度に予定してた健常ラットのIVIM-DWIデータ取得に一定数成功し、次年度の予定であった両側頸動脈閉塞ラット作成も同時並行で試みることができたため。また、急性期から慢性期にかけて、同一ラットにおける継続的なIVIM-DWIデータ取得に成功し、すでにIVIM解析を終え、パラメータの変化について論文報告を準備可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては、臨床研究においては、予定症例数に達していないヒト用7TMRIでの健常者および慢性脳虚血症例の撮像を継続する。また、IVIM-DWIデータ解析を実施し、初期的な結果を用いて、慢性脳虚血の病態を感度よく検出できるIVIM-DWIのパラメータの正常値および異常値について検討する。
また、動物実験においては、共同研究施設17.2TMRIにて両側頸動脈閉塞ラットを再現することも目標とし、11.7TMRIとの結果と比較する。加えて、11.7TMRIでは、新たにラットに対して薬剤投与によって脳循環代謝変化を引き起こし、その変化をIVIM-DWIにて捉えることが可能か検討する。
一方、IVIM解析ソフトウェアの最適化と高速化については引き続き行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、国内の共同研究先との交渉の結果、動物実験にかかる予算を低減することができた。また購入を予定していたソフトウェアについても既存のもので代用できた。一方で、記録メディアやPET薬剤等で物品費が予定よりも増加してしまった。また、本年度はテロ等の影響によって、欧州渡航時の安全性が担保できず、共同実験のための渡仏が困難であったことから、旅費の使用は予定よりも少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
欧州地域の安全性との兼ね合いもあるが、次年度は共同実験のため渡仏を目指し、本年度の繰り越し額をその旅費としてあてる。また、本年度は計画よりも早く進捗したことから、次年度の成果発表のための旅費としても利用する。
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