研究課題/領域番号 |
15K09941
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
伊東 克能 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00274168)
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研究分担者 |
玉田 勉 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40278932)
山本 亮 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30319959)
鳥越 晃之 川崎医科大学, 医学部, 助教 (20551162) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | cine dynamic MRCP / IR pulse / 胆汁 / 膵液 / 十二指腸乳頭括約筋 |
研究実績の概要 |
本研究では、選択的IR パルス併用シネダイナミックMRCP による膵液・胆汁の機能動態イメージング法を用い、生理的・病的な膵液・胆汁排出状態を評価するものであるが、本年は、主として胆汁排出動態の評価を行った。まず食事摂取による影響を検討するために、食前および食後7分ごとに約45分後まで計7回の選択的IR パルス併用シネダイナミックMRCPを施行し、胆汁排出動態を観察した。同時に胆嚢収縮状態も観察した。食後、胆嚢収縮と相関して、順行性の胆汁排出グレードが食前と比較して優位に上昇し、食後26分後にピークとなった。一方、逆行性の胆汁の流れは食前と変化なかった。この結果から食後には順行性の胆汁排出が増加し、それには胆嚢収縮が関与していることが推察された。逆行性の胆汁の流れは食前と変化なかったことから、食事摂取による十二指腸乳頭括約筋機能への影響は少ないものと考えられた。 次に胆汁排出における胆嚢の機能を明らかにするために、正常群と胆嚢摘出後(胆摘後)群の比較を行った。順行性の胆汁の流れは胆摘群でより頻回に認められ、胆汁排出グレードも有意に高かった。この結果から、胆摘後は肝外胆管内圧の上昇が起こるため、順行性の胆汁排出が促進されると考えられ、肝外胆管が収縮・緩衝機能を果たしていた胆嚢の役割を代行していると考えられた。逆行性の胆汁の流れは両群で有意な差はなかったことから、十二指腸乳頭括約筋の収縮能は胆摘後においても胆管内圧よりかなり高いと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胆汁排出動態について、食事摂取による影響を検討でき、また胆摘後の影響も解析できたことにより、術後機能評価法としての役割を果たせる可能性が示された。また、臨床症状を伴う胆嚢摘出後症候群を有する患者への臨床応用へと発展できる。 助成金の使用については、購入予定であった画像解析ソフトのリリースが遅れたため購入していないが、その分を学会などでの情報収集に用いたので、旅費に偏ることになった。
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今後の研究の推進方策 |
胆道機能動態イメージングとしてこれまで得られた臨床データに基づき、乳頭炎、乳頭線維症、乳頭狭窄、胆道ジスキネジアなどの臨床症例について、十二指腸乳頭括約筋の機能評価を行う。この際、胆汁中アミラーゼ値や十二指腸乳頭括約筋内圧測定(マノメトリー)結果と対比し、内視鏡的乳頭切開術施行症例では、術後のシネダイナミックMRCP 所見との比較検討も行う。膵機能動態イメージングについては、膵内分泌・外分泌相関についての検討を重点的に行う予定で、膵外分泌機能としての膵液排出動態と、ブドウ糖値やHbA1c 値、ブドウ糖負荷試験結果などとを比較し、膵外分泌機能障害の程度と内分泌異常との相関について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に購入予定であったMR 画像解析ソフトのリリースが遅れており、購入できなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は29年度交付額と合わせて、MR 画像解析ソフトを購入予定。ただしリリースがさらに遅れる可能性があり、その場合は既存の解析ソフトを代用して解析を行い、その分の助成金は、成果発表の回数を増やしそのための旅費等に使用する予定。
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