研究課題
研究代表者らはこれまで高磁場3テスラ MRIを用いて撮像した拡散テンソル像を解析し、中年の肥満者においてbody mass index(BMI)に関連して微細な変化が生じる大脳白質部位を同定した。また研究代表者らは同じく高磁場3テスラ MRIを用いて撮像した拡散テンソル像を解析し、diffusional kurtosis imaging法を用いて、高血圧の中年男性では血管障害の顕在化前から微細な白質変化が生じていることを明らかにした。これまでの研究結果を踏まえ本研究課題では3D-T1強調像をVBMの手法を用いて灰白質容積の評価を行い、各種認知症に特異的な脳萎縮を評価している。また拡散テンソル像を用いて、各種認知症に特異的な白質障害を評価、定量している。さらに拡散テンソル撮像を発展させた新しいMRIの撮像法であるdiffusional kurtosis imaging:DKI法とq-space imaging:QSI法による解析も行っている。3D-T1強調像と拡散テンソル像の両方を用いてグラフ理論を用いた複雑ネットワーク解析を行っている。複雑ネットワーク解析では最初に全脳に関心領域を設定し、拡散テンソルトラクトグラフィーを行うことで関心領域間の結合の強さを計量する。次に関心領域間の結合の強さをグラフ理論を用いて解析し、脳全体を1つの複雑ネットワークとみなして、疾患特異的なネットワーク特性があるかを検討している。
3: やや遅れている
現在までの進捗状況についてはやや遅れている。主な理由は以下の通り。1)高性能ワークステーションを使用しているが、各症例のネットワーク特性の計算に想定以上の時間を要していること。2)各症例のネットワーク特性は想定以上に均質で、当初計画よりも症例数を増やす必要がありそうなこと。3)各症例のネットワーク特性の検証に必要なランダムネットワークの生成に時間を要していること。
各症例のネットワーク特性の計算に想定以上の時間を要しているので、計算アルゴリズムを見直し、より迅速かつ網羅的に解析を行える環境の構築を目指す。また各症例のネットワーク特性は想定以上に均質であることから、当初計画よりも症例数を増やす方向で検討する。さらに外部の連携研究者の協力も得ながら、各症例のネットワーク特性の検証に必要なランダムネットワークの生成に要する時間の短縮を図る。
当初計画で購入を予定していたワークステーション用メモリチップが円高の進行のため購入できなかったため。
ワークステーション用メモリチップを購入する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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