研究課題/領域番号 |
15K09945
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
樋口 徹也 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60323367)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 甲状腺癌 / RI治療 / Cu-64 / PET / DOTA-TATE / ソマトスタチン受容体 |
研究実績の概要 |
分化型甲状腺癌においても、ソマトスタチン受容体(Sstr)の発現が報告されている。Sstrを標的にした核医学診断には、In-111標識されたソマトスタチン類似体オクトレオチドが現在使用されている。Cu-64標識DOTA-TATEは、PET診断薬剤であり、空間分解能が高く、病変部位診断には、In-111標識製剤より診断に有利である。また、I-131治療抵抗性の症例の場合、PRRT(ペプチド受容体標的RI治療)の対象になる可能性のある症例もあり、治療適応の有無の事前の評価にも使用が可能である。本研究では、Cu-64標識DOTA-TATEの分化型甲状腺癌での診断能を評価し、PRRT治療を視野に入れた個別化治療の可能性のある症例の現状に関して評価を行っている。現在、Cu-64を当院サイクロトロンで合成し、Cu-64 DOTA-TATEを合成するための準備を行っている。DOTA-TATEは、市販されているものを購入し使用する。本学医学部寄附講座バイオイメージング情報解析学のスタッフと協力のもと、放射化学純度など合成薬剤の品質を十分確認する。 今後、ソマトスタチン受容体発現陽性の甲状腺癌の細胞株の腫瘍移植マウスモデルを作成し、Cu-64 DOTA-TATEの投与を行い腫瘍への集積を検討する。 その後、現在治療を行っている甲状腺癌症例で、転移巣の部位診断が困難な症例を対象に、Cu-64 DOTA-TATE PETの安全性、診断での有効性に関しての臨床研究に関して、院内IRBの承認をへて検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、Cu-64を当院サイクロトロンで合成し、Cu-64 DOTA-TATEを合成するための準備を行っている。DOTA-TATEは、市販されているものを購入し使用する。本学医学部寄附講座バイオイメージング情報解析学のスタッフと協力のもと、放射化学純度など合成薬剤の品質を十分確認する。 さらに、ソマトスタチン受容体発現陽性の甲状腺癌の細胞株を、BALB/c nu/nuマウスに接種することにより、甲状腺癌の腫瘍移植マウスモデルを作成する。次に、Cu-64 DOTA-TATEの投与を行い腫瘍への集積を検討する。I-131もコントロールとして使い比較を行う。具体的には、このモデルマウスの尾静脈よりCu-64 DOTA-TATEやI-131の投与を行い、経時的に撮像する。経時的に動物用PETカメラ(Inveon, Siemens社製)にて、甲状腺癌への集積状態を撮像する。腫瘍への集積は、SUVでの評価を行う。 その後、現在治療を行っている甲状腺癌症例で、転移巣の部位診断が困難な症例を対象に、Cu-64 DOTA-TATE PETの安全性、診断での有効性に関しての臨床研究に関して、院内IRBの承認をへて検討を行予定である。 一方、群馬大学附属病院では、北6階病棟に3床の非密封RI治療病室にて、甲状腺癌のI-131治療を、入院外来あわせて年間80件程度行い、I-131治療に抵抗性の症例を蓄積している。将来、Cu-64 DOTA-TATEの有用性の検討を行う症例がどの程度いるかの探索的な検討を行っている。院内IRBのへの申請の準備も臨床試験部と相談しながら進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Cu-64 DOTA-TATEを合成し、放射化学純度など合成薬剤の品質を十分確認する。 ソマトスタチン受容体発現陽性の甲状腺癌の細胞株を、BALB/c nu/nuマウスに接種した甲状腺癌の腫瘍移植マウスモデルにて、Cu-64 DOTA-TATEの投与を行い腫瘍への集積を検討する。 現在治療を行っている甲状腺癌症例で、転移巣の部位診断が困難な症例を対象に、Cu-64 DOTA-TATE PETの安全性、診断での有効性に関しての臨床研究に関して、院内IRBの承認をへて検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Cu-64を当院サイクロトロンで合成し、放射化学純度など合成薬剤の品質を十分確認するなど、Cu-64 DOTA-TATEを合成する準備が遅れている。また、甲状腺癌でソマトスタチン受容体発現陽性の細胞株を用いて、腫瘍移植マウスを作成し体内分布などを評価し薬剤の有用性の基礎的評価を行う実験計画も遅れている。
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次年度使用額の使用計画 |
市販されているDOTA-TATEを購入し、本学医学部寄附講座バイオイメージング情報解析学のスタッフの協力のもと、合成を行う。 さらに、ソマトスタチン受容体発現陽性の甲状腺癌の細胞株を、BALB/c nu/nuマウスに接種することにより、甲状腺癌の腫瘍移植マウスモデルを作成し、Cu-64 DOTA-TATEの投与を行い腫瘍への集積を検討する。
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