研究課題
分化型甲状腺癌においても、ソマトスタチン受容体(Sstr)の発現が報告されている。Sstrを標的にした核医学診断には、In-111標識されたソマトスタチン受容体類似体オクトレオチドが現在使用されている。PETによる診断は、18F-FDG(フルデオキシグルコース)によるPETにての各種癌の診断が日常臨床では、頻繁に行われているが、FDGには、炎症病変などへの非特異的集積があるなど癌の特異的な診断には限界がある。Cu-64標識DOTA-TATEは、PET診断薬剤であり、空間分解能が高く、病変部位診断には、In-111標識製剤より有利である。また、I-131治療抵抗性の症例の場合、PRRT(ペプチド受容体標的RI治療)の対象になる可能性のある症例も存在する可能性があり、これらの症例での治療適応の有無の事前の評価にも使用できる可能性がある。本研究では、Cu-64標識DOTA-TATEの分化型甲状腺癌での診断能を評価し、PRRT治療を視野に入れた個別化治療の可能性のある症例の現状に関して評価を行っている。実験に関しては、本学大学院医学系研究科寄付講座バイオイメージング情報解析学のスタッフと連携し、合成薬剤の評価を、放射化学純度を含め寝室評価を行っていく。DOTA-TATEは、市販されているものを使う。今後、ソマトスタチン受容体発現陽性の甲状腺癌細胞株を移植したマウスを準備し、Cu-64 DOTA-TATEを投与し腫瘍への集積程度を評価する。その後、現在治療を行っている甲状腺癌の症例で、転移巣の部位診断困難な症例を対象に、Cu-64 DOTA-TATE PETの安全性、PET診断での有効性に関して臨床研究の準備を、院内IRBと相談し進めていく予定である。
3: やや遅れている
Cu-64 DOTA-TATEの合成準備に時間を要している。現在臨床でのFDGの合成の他、他の研究でのサイクロトロンの使用が行われ、随時進めている。これらの合成が、確立した後、動物実験の計画もたてるが、こちらもやや遅れている。ソマトスタチン受容体発現陽性の甲状腺癌の細胞株を、BALB/c nu/nuマウスに接種することにより、甲状腺癌の腫瘍移植マウスモデルを作成する。次に、Cu-64 DOTA-TATEの投与を行い腫瘍への集積を検討する。I-131もコントロールとして使い比較を行う。具体的には、このモデルマウスの尾静脈よりCu-64 DOTA-TATEやI-131の投与を行い、経時的に撮像する。経時的に動物用PETカメラ(Inveon, Siemens社製)にて、甲状腺癌への集積状態を撮像する。腫瘍への集積は、SUVでの評価を行う。その後、本院RI病棟にて転移性甲状腺癌で、I-131治療を行っている症例を対象に病変の診断が困難であるが、病変が存在する症例がどの程度存在するか評価を行い、Cu-64 DOTA-TATEの有用性の検討を行う意義のある症例がどの程度存在するか、評価を行う。群馬大学附属病院では、北6階病棟に3床の非密封RI治療病室を保有しており、RI治療を行うには恵まれた環境にある。甲状腺癌のI-131治療、悪性褐色細胞腫のI-131 MIBG治療が現在行われている。甲状腺癌のI-131治療は入院外来あわせて年間80~90件程度存在し、I-131シンチだけでは、病変の局在が困難な症例が比較的頻繁にみかけられるため、症例集積は今後行える見込みである。今後、Cu-64 DOTA-TATEを用いた、臨床検討についても、院内IRBのへの申請の準備を臨床試験部と相談しながら進めていく予定である。
Cu-64 DOTA-TATEのサイクロトロンを用いた合成準備を急ぐ。ソマトスタチン受容体発現陽性の甲状腺癌の細胞株を、BALB/c nu/nuマウスに接種することにより、甲状腺癌の腫瘍移植マウスモデルを作成する。次に、Cu-64 DOTA-TATEの投与を行い腫瘍への集積を検討する。現在治療を行っている甲状腺癌の症例で、転移巣の部位診断困難な症例を対象に、Cu-64 DOTA-TATE PETの安全性、PET診断での有効性に関して臨床研究の準備、院内IRBとの相談を急ぐ。
Cu-64を当院サイクロトロンで合成し、放射化学純度など合成薬剤の品質を十分確認するなど、Cu-64 DOTA-TATEを合成する準備に時間を要している。また、ソマトスタチン受容体発現陽性の細胞株を移植した、担癌マウスの作成や薬剤の体内分布の評価の準備も遅れているため、翌年に実験を行う予定となった。
市販されている、DOTA-TATEを購入し、本学大学院医学系研究科寄付講座バイオイメージング情報解析学のスタッフと連携し、Cu-64 DOTA-TATEを合成し、ソマトスタチン受容体発現陽性の細胞株移植担癌マウスでの体内分布の評価を行う。
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