研究課題
転移性分化型甲状腺癌(Metastatic DTC)の治療では、ヨード治療抵抗性甲状腺癌(RR-DTC: Radioactive Iodine refractory DTC)が問題となっている。本研究では、RR-DTCの診断および治療としてのCu-64標識DOTA-TATEの有効性評価のために、薬剤標識、動物実験を行った。Cu-64 DOTATAEを2匹の甲状腺濾胞癌細胞株(FTC-133)を皮下摂取後、動物用ガンマカメラで撮像し、軽度であるが明瞭な腫瘍の描出があり、この腫瘍株でのソマトスタチン受容体(Sstr-2)発現を確認できた。次に、In-111 DOTA-TATEを用いて、FTC-133細胞株との特異的な結合試験、0.5, 1, 3時間後の担癌マウスでの生体内分布を評価し、骨軟部よりも高い腫瘍集積が確認できた。この結果に基づき、Y-90標識 DOTA-TATEによる治療実験を、対照群(n=5)、200μCi群(n=4), 300μCi群(n=4)の3群にて行った。300μCi群では、3匹が観察期間中(70日)生存し、200μCi群、対照群と比較して生存期間が長いことがわかった。臨床的検討としては、実際の治療が問題となり、将来的にCu-64 DOTA-TATE治療対象となりうるRR-DTC症例を、より早期に予測できるかについて、今回の評価では当院でI-131治療を行っている症例で検討した。その結果、I-131治療中の直近4回の血中サイログロブリン(Tg)値から計算した血中Tg倍加時間(Tg-DT)の1年以内への短縮がその後の増悪(PD)を予測し、早期RR-DTC診断を行う有効な指標であり、Cu-64/Y-90 DOTA-TATEなどの代替治療の候補症例を具体的に選択する上で有用である可能性が示された。
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