研究実績の概要 |
<今年度の研究成果> 昨年度実施予定だったペプチドの放射性臭素標識合成は、連携研究者側の製造設備の不調の影響とRI製造スケジュールの都合でマシンタイムを十分確保できなかったため、予定していた標識実験およびノーマルマウスにおける臓器移行性試験が実施できなかった。今年度は、6月にマシンタイムを確保して標識合成用RIの製造を行ったが、分離過程における不慮の事故によりその後の実験がすべて中止になった。なお、本件に関しては連携研究者所属機関の関係部署に状況報告し、適切な対策を講じた。その後、RI製造設備の長期メンテナンスのために放射性臭素標識合成の実験を進めることができなかったため、今年度の実験計画を遂行することはできなかった。その間、代替実験として他機関で製造された放射性ハロゲンAt-211を用いたシリル化フェニルアラニンの標識合成を行い、腫瘍に高発現しているアミノ酸トランスポーターLAT1に認識されることを示した。 <研究期間全体を通じた実験の成果> 本研究では、アミノ酸・ペプチドを基盤とした放射性臭素標識PET薬剤の実用的合成法の開発を行った。その結果、ケイ素ー放射性ハロゲン交換反応を利用した標識合成を確立し、その有用性を示すことができた。まず、シリル化フェニルアラニン残基を含むペプチドを標識前駆体としてケイ素―ハロゲン交換反応によりBr-77標識環状RGDペプチドの標識合成に成功した(標識率95%以上). 従来までのTyr残基への直接標識した場合と比較してより高い標識率と生体内安定性を達成した(特許公開,論文投稿準備中).
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