研究課題
本研究では、抗がん剤の個別化治療を目指し、単光子放出断層撮像法(SPECT)を用いた従来の多剤耐性予測法と比べて、抗がん剤の動態に関与するトランスポータの種類と発現量を考慮した高精度な多剤耐性予測法を確立する。この目標を達成するため、平成27年度には、[99mTc]sestamibi(MIBI)はP-gpとMRP1、[99mTc]tetrofosmin(TF)はP-gpとMRP1-3、[131I]adsterolはBCRPのみ関与を細胞実験で解明した。平成28年度は、これらのトランスポータが高発現しているヒト由来腫瘍細胞(SK-N-SH、H441、A549、SK-MEL-28とPC-3)を用いて、各放射性医薬品と各トランスポータの親和性を再確認できた。また、小動物SPECT装置U-SPECT/CTにおいて、低放射能計測値で撮像可能な最適な撮像条件を設定することに成功した。これらの結果を利用し、平成29年度には、神経芽細胞腫SK-N-SHの担がんマウスを用いて、MIBIとTFにおけるがんトランスポーターの確認と発現量の測定を行った。その結果、細胞実験と同様に、担がんマウスにおいても、MIBIとP-gpやMRP1の親和性は、TFよりも高かったため、MIBIは、TFよりも腫瘍から多量かつ迅速に排泄された。一方、TFとMRP2とMRP3の親和性はP-gpとMRP1と比べて少なかったが、MIBIよりも腫瘍細胞に発現する多種類の多剤耐性を確認できると思われた。さらに、[131I]adsterolにおいては、ラット由来褐色細胞腫の担がんマウスで検討したところ、がんが適切に成育しなかったため、BCRPが高発現しているマウスの肝臓において、[131I]adsterolのBCRP親和性が確認できた。
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