研究課題/領域番号 |
15K09957
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
小川 敏英 鳥取大学, 医学部, 教授 (00125709)
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研究分担者 |
藤井 進也 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (10379638)
篠原 祐樹 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (60462470)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レビー小体型認知症 / パーキンソン病 / MRI神経メラニンイメージング / ドパミントランスポータ画像 / 心交感神経機能画像 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)を含むパーキンソン症候群の鑑別診断における神経メラニンMRI(NMI)に関して、ドパミントランスポータイメージングの一つである123I-FP-CITを用いたSPECT(DaTSCAN)と123I-MIBG心筋シンチグラム(MIBG)との関連性について検討した。 対象は、パーキンソン症状が疑われてNMI、DaTSCAN、およびMIBGが施行された22例(女性12例、男性10例、年齢29~85歳、平均68歳)である。その内訳は、PD17例、多系統萎縮症3例、進行性核上性麻痺1例、本態性振戦1例であった。検討方法は、NMIでは左右の黒質緻密部内側および外側、並びに同一断面の中脳被蓋に円形の関心領域(ROI)を設定し、中脳被蓋に対する黒質緻密部内側および外側の信号強度比を求めた。DaTSCANでは、QSPECT DaTSCANモードによる自動ROI解析を用いて、線条体と後頭葉の集積比(specific binding ratio; SBR)を求めた。尚、MIBGについては全例に施行できなかったことから、検討は次年度以降に持ち越すこととした。 その結果、NMIにおける黒質緻密部外側の信号強度比とDaTSCANにおけるSBRには有意な相関を認めた(ρ=0.403、p<0.01)。しかしながら、黒質緻密部内側の信号強度比とSBRとの間には有意な相関は得られなかった(ρ=0.151、p=0.341)。 以上の結果から、NMIとDaTSCANとの比較より、パーキンソン症候群のNMIでは、黒質のドパミン神経細胞減少だけでなく、黒質線条体ドパミン神経系の障害を反映した情報も得られる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、パーキンソン症候を呈する22例の初診患者を対象に、NMI、DatSCAN、MIBGを用いた検査を実施した。しかしながら、パーキンソン症候を呈する初診患者の中にはレビー小体型認知症(DLB)は認められず、DLB患者における検討は実施できなかった。また、DLB患者の剖検例は得られなかったことから、剖検脳のNMIと病理学的所見の対比検討も実施できなかった。更に、MIBGについても全例に施行できず、検討は次年度以降に持ち越しとなった。 その一方で、多数のPDの初診患者の検討が実施でき、NMIによれば中脳黒質のドパミン神経細胞の減少のみならず、黒質線条体ドパミン神経系の障害を反映した情報が得られることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の検討では、初診のDLB患者の検討が実施できなかったことから、平成28年度以降は既にDLBとの診断が確定している症例の追跡検査として、NMI、DatSCAN、MIBGを実施し検討する必要がある。また、画像所見と病理所見の対応に関しては、剖検例が減少している現状への対応は極めて厳しいものの、過去の剖検脳についても剖検脳MRIが撮像できる例を遡って探す予定である。
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