研究課題/領域番号 |
15K09958
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
生口 俊浩 岡山大学, 大学病院, 講師 (90423293)
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研究分担者 |
郷原 英夫 岡山大学, 大学病院, 教授 (10379745)
金澤 右 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20243511)
平木 隆夫 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50423322)
藤原 寛康 岡山大学, 大学病院, 講師 (70423324) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨軟部腫瘍 / 疼痛 / 凍結治療 / 安全性 / 温度測定 |
研究実績の概要 |
有痛性骨軟部腫瘍に対する有効な治療は限られ、多くの患者がその痛みで大変苦しんでいる。我々が着目した凍結療法は、標的病変を急速冷凍することにより凝固壊死をもたらし治療直後から効果が現れる。凍結療法は現在小径腎がんに対してのみ保険適用されているが、その適応拡大が大変期待されている。本研究の目的は有痛性骨軟部腫瘍に対して、凍結治療により重要臓器・構造を損傷する可能性がある場合に温度センサーを併用して経皮的凍結療法を行い、その安全性と有効性を検証したことである。
研究実施計画は以下のごとくである。設定された適格基準をすべてみたし、除外基準に合致しない症例を対象例として10人登録し、凍結治療器(CryoHit;Galyl Medical社製;イスラエル)、凍結プローブ(Ice-Rod、Ice-Seed;Galyl Medical社製)、高圧ガスを用いて凍結治療を行った。治療は岡山大学病院IVRセンターにおいて凍結治療の経験が豊富な岡山大学放射線科IVRスタッフによって行った。凍結治療により重要臓器・構造を損傷する可能性がある場合に温度センサーを併用して損傷を回避するよう努めた。本研究の、主要(安全性)評価項目として「術後1ヶ月までの重篤な有害事象発現率」を設定し、本試験に登録された全被験者を対象に、記述統計量を評価した。副次的有効性評価項目として、「治療前後の疼痛Visual analog scale(VAS)の改善」、「凍結治療前後での腫瘍径の変化量」、「術後1ヶ月までの全有害事象発現率」並びに「手技及び機器関連有害事象発現率」、「術後1ヶ月までの不具合発現率」を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度である平成27年度中に、研究実施計画書を作成、臨床研究に関する賠償責任保険に加入し、UMIN登録をおこなった。骨軟部腫瘍に対する凍結治療は保険収載されていないため、岡山大学病院 医事課とも会議をおこない料金設定をした。その後、平成27年11月17日に開催された平成27年度第8回岡山大学医療系臨床研究審査専門委員会の承認を得て、平成27年12月1日より研究を既に開始している。 2年目である平成28年度中に、さまざまなカンファレンス、研究会、学会にて本研究のアナウンスを行い本研究の認知を広めた。本研究のプロトコール論文を著者がわからない形で複数人による査読のある英文誌(インパクトファクター 0.721)に投稿し無事掲載された(Acta Med Okayama. 2016;70(4):303-306)。9月10日-14日にかけてヨーロッパの専門学会に参加し情報交換、情報収集をおこなったうえ、世界的に高名なProf. de Baereの了承のもとフランスのInstitut Gustave Roussyを訪問し実際手技の見学も行った。本研究に参加したい問い合わせは多数あったが、残念ながら費用面で折り合いがつかない、痛みがない、治療後に骨折など重篤な合併症を生じる可能性が高いなど適応患者はいなかった。 3年目である平成29年度には1例患者登録があった。ただし研究代表者が9月より6ヶ月間 Institut Gustave Roussyにて研修し、不在だったこともあり患者登録はそれ以上すすまなかった。
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今後の研究の推進方策 |
岡山大学 放射線医学教室のホームページにも本研究に関する案内を掲載しているがまだまだ認知度が低いと思われる。さらに各種カンファレンス・研究会での報告、臨床他科(たとえば緩和ケア科、整形外科、放射線治療科など)に広くアナウンスし、教室のホームページもより充実させて本研究の有用性を訴え、さらに患者登録を促進していきたいと思う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定の症例数の登録がなかったため、未使用額が生じた。
(使用計画)予定している研究計画の実施に努める。
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