研究課題
本研究課題では、磁性ナノ粒子に交流磁場を印加することで得られる発熱を、悪性腫瘍の腹腔内播種病変に対する温熱治療として応用可能であるかどうかを検討すること、ならびに、本治療法のために新規開発された新規磁性ナノ粒子の生体応用への可能性の検証を目的とした。平成29年度までに、①交流磁場発生装置の購入・設置、②新規磁性ナノ粒子とそれ以外の使用候補となりうる複数の磁性ナノ粒子の溶媒中での拡散性などプロファイリング、③磁性ナノ粒子と腫瘍特異的抗体の結合方法の確立、④株化腫瘍細胞を用いてin vitroにおいての腫瘍選択的なデリバリーが可能であることの確認、などを行った。その結果、新規磁性ナノ粒子であるイットリウム鉄ガーネットは溶媒中でどうしても凝集してしまい十分に分散させることができず本研究課題では使用が困難と判断せざるを得なかった。そのため、我々が入手可能な粒子の内で最も癌細胞への温熱効果が高いと思われた粒子径10nm程度のマグネタイトで実験を継続した。最終年度である平成29年度は、実際にin vitroにおいて、腫瘍特異的抗体で修飾したマグネタイトを腫瘍細胞に取り込ませて、single cell levelでの温熱治療が可能であることを確認し、腹腔内播種病変の治療に応用できる可能性を示すことができた。今後は、当初予定していたマウス播種モデルでの検証を進め、本研究課題の治療コンセプトを示していく予定である。
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