放射線障害により起こる腸管からのbacterial translocationが発生する機序の一つとして、骨髄抑制によって腸管粘膜の自然免疫リンパ球がダメージを受けることが想定される。本研究結果により、骨髄抑制以外にも腸管の絨毛構造や微絨毛の脱落によっても発生することが示唆された。このように絨毛構造が剥離した部分は正常な構造的バリアを有さないことから細菌感染が促進すると考えられ、敗血症の進展に至ると考えられる。本研究から、抗炎症性作用を持つオロソムコイドはIL-10の産生を介して放射線性粘膜障害を軽減し、治療等の合併症によって腸管粘膜ダメ―ジを受けた場合にそれを軽減する可能性が示唆された。
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