研究課題/領域番号 |
15K09974
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
中谷 幸 関西医科大学, 医学部, 助教 (10533424)
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研究分担者 |
狩谷 秀治 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40368220)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 放射線防護 / 放射線被曝 / インターベンション / CT透視 |
研究実績の概要 |
CT透視ガイド下穿刺ではリアルタイムに体内の情報を高い解像度で得るため、精度の高い穿刺が可能である。したがってCT透視ガイドで行う検査、治療は年々増加している。しかし術者の被曝が増加し、我々の計測では放射線障害防止法で定められた線量限度を超過する可能性がある。この解決策として我々はCT透視に適合した形状の被曝防護シールドを作製し、ファントムによる線量分布の評価を行ってきた。この研究の目的は防護シールドを実臨床で使用可能となるよう改良し、前向き臨床試験により安全性と術者の被曝防護の有効性を評価することである。 今年度はファントム実験による線量計測の結果についての学会発表とシールドの臨床症例における試用を行った。 学会発表:前年度のファントム実験における散乱線の計測結果について分析を行い、シールドの術者被曝低減への影響について2017年4月の日本医学放射線学会、5月の日本IVR学会総会で発表を行った。 シールドの試用:臨床における前向き試験を計画するに当たり、臨床症例についてシールドの試用を行った。シールドは一般医療機器として届出されている。CTガイド下肺生検の症例5例をシールドの設置下で施行した。シールドの使用手順や配置位置、生検の清潔操作を保つための具体的な方法を検討することができた。いずれの症例も生検の手技、安全面について支障なく使用できた。この結果を踏まえてシールドを使用した前向き試験を計画し、試験の遂行を倫理委員会に申請する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度のファントム実験においてシールドの術者の被曝防護についての効果が確認されたことを踏まえ、前向き臨床試験を行うための準備を進めた。試験を行うに先立ち、シールドを実臨床で使用する場合の具体的な手順を検討する必要があると考え、試験的にCTガイド下肺生検の症例5例をシールドの設置下で施行した。シールドはすでに一般医療機器として届出されている。シールドの使用手順や配置位置、生検の清潔操作を保つための具体的な方法を検討することができた。また、生検の手技、安全面について支障なく使用できることが確認できた。この結果を踏まえて前向き試験の倫理委員会への申請を行う計画であるが、申請・承認には至っておらず年度内に臨床での前向き試験は開始できなかった。 また、シールドの買取りについて当施設の産学連携知的財産統括室との連携でクラレトレーディング株式会社との調整を行っているが、交渉継続中でありシールドの買取りには至らなかった。このため、シールドの購入手続きを年度内に遂行することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
シールドを臨床で使用し前向き試験を行うことを倫理委員会で承認を得る。3相の前向き試験を行う。 第Ⅰ相前向き試験:第1段階で3例を行い安全性を検討、同じく第2段階、第3段階で各々3例を行い、合計9例を行い本シールドを用いたCT透視下肺生検の安全性を評価する。症例は手技の難易度が低いものを選択する。 第Ⅱ相前向き試験:第Ⅰ相前向き試験にて安全性が確認された場合に第Ⅱ相前向き試験に進む。安全性および正診率を評価する。本研究者らが報告した肺生検の臨床結果の正診率89.4%(3)と比較し有意に低下しないことを確認する。30例を行う。 第Ⅲ相前向き試験:CT透視下肺生検においてCT透視防護シールドを用いた術者の被曝低減を評価するランダム化比較試験。CTシールドを使用する場合と、従来行ってきた防護シールドを使用しない場合に振り分ける。症例数は60例。評価項目は術者の被曝線量、生検の正診率、急性・慢性期の有害事象(CTCAEv4.0に基づいて評価)。観察期間は6カ月とする。 試験の結果を日本医学放射線学会、米国Society of Interventional Radiologyで発表し、英文雑誌に投稿する。 次年度に繰り越しとなったシールドの購入を行い研究を計画に基づき継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
シールドの買取りについて当施設の産学連携知的財産統括室との連携でクラレトレーディング株式会社との調整を行っているが、交渉継続中でありシールドの買取りには至らなかった。このため、シールドの購入手続きを年度内に遂行することができなかった。次年度に繰り越しとなったシールドの購入を行い研究を計画に基づき継続する。
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