CT透視ガイド下穿刺ではリアルタイムに体内の情報を高い解像度で得るため、精度の高い穿刺が可能である。したがってCT透視ガイドで行う検査、治療は年々増加している。しかし術者の被曝が増加し、我々の計測では放射線障害防止法で定められた線量限度を超過する可能性がある。この解決策として我々はCT透視に適合した形状の被曝防護シールドを作製し、ファントムによる線量分布の評価を行ってきた。この研究の目的は防護シールドを実臨床で使用可能となるよう改良し、前向き臨床試験により安全性と術者の被曝防護の有効性を評価することである。 今年度はシールドの臨床症例での使用、豚を用いた穿刺実験における線量測定を行った。 豚を用いた穿刺実験:豚の肝動脈に複数個のコイルを留置したのち、X線透視下にコイルの経皮的穿刺を行った。3頭につきそれぞれ3か所ずつシールドの設置あり、なしで術者の被曝線量を10か所で測定した。 シールドの臨床使用:臨床における前向き試験を計画するに当たり、臨床症例においてシールドの使用と術者の線量測定を行った。シールドは一般医療機器として届出されている。CTガイド下肺生検の症例3例をシールドの設置下、3例をシールドなしで施行し、それぞれの術者の被曝線量を10か所で測定した。シールドを用いた場合は使用しなかった場合に比べて線量が低減された。いずれの症例も生検の手技、安全面について支障なく使用できた。この結果を踏まえてシールドを使用した前向き試験を計画し、試験の遂行を倫理審査委員会に申請する。
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