研究課題/領域番号 |
15K09976
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
辻 厚至 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, チームリーダー(定常) (60303559)
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研究分担者 |
田畑 祥 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任助教 (30708342)
加藤 孝一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 室長 (50382198)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アミノ酸 / アミノ酸トランスポーター / PET / 放射線 / がん |
研究実績の概要 |
前年度までに8種の肺がん由来細胞株での非天然アミノ酸PETトレーサーであるAIB及びMeAIBの取込みの評価をin vitro及びin vivoで行い、アミノ酸トランスポーターシステムの阻害剤による競合阻害実験の結果から、従来考えられていたようにAIBが主にアミノ酸トランスポーターシステムAで取込まれるというのは、必ずしもすべてのがん細胞で認められる現象ではないことが明らかとなった。また、放射線照射後の経時的なAIBの取込みの評価もin vitro及びin vivoで行ったところ、どちらでも一過性の取込み上昇が認められたが、そのタイムポイントは大きく異なっていた。in vitroとin vivoでの実験でそれぞれ適したタイムポイントでの実験が必要ということが明らかとなった。アミノ酸トランスポーターシステムAのPETトレーサーだけでは、本研究の目的は達成できないと判断し、他のアミノ酸トランスポーターシステムで取込まれるPETトレーサーの解析も合わせて必要と考えた。そこで、まずアミノ酸トランスポーターシステムLで輸送されることが報告されているシステイン誘導体が候補としてあるが、本研究には生体内での代謝安定性が必要なことから、より安定な構造を有すると予想される誘導体のPETトレーサー開発を行った。放射性合成法を確立し、PETイメージングを行ったところ、腫瘍集積は同程度だが、正常臓器への取込みが、元の誘導体と大きく異なることが明らかとなった。代謝分析の結果、元の誘導体よりも代謝安定であることが示された。しかし、体内動態の違いは、代謝安定性だけでは説明できないと考えられた。そこで、来年度以降に責任トランスポーターの決定を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しく開発したPETトレーサーの体内動態が予想と大きく異なったことから、その取込み機序の解析が新たに必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
新しく開発したPETトレーサーの体内動態が予想と大きく異なったことから、その取込み機序の解析が新たに必要となったことから、当初計画とは違う実験を新たに組むこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たに開発したPETトレーサーが予想と異なる体内動態を示したため、その取込み機序の解析が必要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに開発したPETトレーサーの取込み機序の解析に使用する。
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