研究課題
本研究では、ドーパミン(DA)神経活動と脳活動のメカニズムを解明する新たな方法として、DA 神経に人工受容体を発現させたマウスを作製し、脳血流量SPECT による脳活動マッピングとPET によるDA 神経伝達機能イメージングを融合し、活動制御による脳全体の活動変化と神経伝達機能変化をPET、SPECTリガンドの同時投与、PET、SPECT連続撮像を行うことにより、同一固体の同一時間軸上で非侵襲に捉えることを目的とした。今年度は、昨年度抑制性DRAEDDを導入したhM4 Tgマウスの腹腔内投与FDG-PETによる覚醒下での脳活動イメージングの解析を更に進め、SPMを用いて統計検定を行ないDREADD発現領域へのアゴニストCNOによる神経抑制に伴う脳活動変化領域を解析した。その結果FDG取り込みが有意に低下した領域は、DREADD発現部位の大脳皮質や海馬より線条体であることが示された。これは同Tgマウスを麻酔下で同様の評価をMRI-ASL法(CBF)で行った際と(Ji B et al., JNS2016)と若干異なる結果であった。糖代謝とCBFではそのため覚醒下でFDG-PET、 [99mTc]HMPAO-SPECTと同時投与・連続撮像を行うすることをまず目指した。研究協力者である武田薬品工業研究者は慢性静脈カテーテル留置による無麻酔かつ非拘束条件で静脈内へ放射性薬剤を投与する技術を開発している。人為的神経活動操作を用いた脳機能研究では、覚醒下の行動実験とも併用可能な本技術は将来的にも特に有用であると判断し、この基盤技術の確立を優先した。その結果、FDG-PETでは腹腔内投与とほぼ同様の結果が得られたが、良好な[99mTc]HMPAO-SPECT画像が得られなかった。FDGとの同時投与が[99mTc]HMPAO標識に影響を及ぼしたと思われ、[99mTc]HMPAOとPET薬剤の同時投与には更に改善の必要があると考えられた。
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