研究課題
平成27年度において、以下の検討を行った1.ADのタウ病態モデルにおけるTSPO生体イメージング:研究代表者らが開発した新規リガンド18F-FEBMP及び第一世代TSPOリガンドの11C-PK11195及び第二世代TSPOリガンドの 11C-Ac5216を用いて、9-12カ月齢のADのタウ病態モデルPS19におけるTSPOの発現誘導を調べた。その結果、病理変化が顕著に現れた個体において、18F-FEBMP、11C-PK11195、 11C-Ac5216のいずれもミクログリアの活性化を検出することができたが、中程度の脳萎縮しかない個体について、18F-FEBMPを用いたPET撮影のみ、神経炎症の発生をとらえた。2.AD患者の死後脳組織を用いる検討:AD患者及び健常者の死後脳組織を用いて、研究代表者らが独自に開発した抗TSPO抗体を用いる免疫染色とWestern blotにより、実際のAD患者脳ではTSPO蛋白発現量がどの程度増えたかを調べた。また、同じ組織を用いて、TSPOリガンド18F-FEBMP、11C-PK11195を用いるオートラジオグラフィで、AD患者脳における各リガンドの結合がどの程度増えたかを調べた。その結果、AD患者群と健常者群の間に、11C-PK11195のin vitro結合が有意な差が検出されなかったのに対して、18F-FEBMPの結合はAD患者群において顕著に上昇した。また、TSPOの発現量を生化学的解析した結果、TSPOの発現量がAD患者脳で有意に上昇し、18F-FEBMP結合と正の相関しました。それに対して、TSPOの発現量が11C-PK11195との相関性が認められなかった。以上のことより、18F-FEBMPは現存TSPOリガンドに比べ、神経炎症への検出力が高いことが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
動物の飼育にトラブルがあり、当初の研究計画書に書かれたH27年度の項目(11C-PBR28, 11C-MBMPのPET撮影は終えなかった)を一部のみしか実施できなかったが、前倒しで実施したものもあり、信頼性のあるデータを取り終えたため
H27年度の実験が順調に計画通りに進めることができたので、引き続き、当初の計画通り、引き続き、齧歯類モデルや死後脳を用いて、他のリガンド11C-MBMP、11C-PBR28の評価を行うと同時に主に以下の様な計画で霊長類を用いた検討を行うA)霊長類におけるTSPOの生体イメージングB)霊長類タウ病態モデルの作製及びタウ関連病理の生体イメージング
動物飼育にトラブりがあり、予定していた動物実験が実施できなかった分、助成金の剰余金が発生した。
動物飼育以外に研究が順調に進められているので、今年度が実施できなかった研究を次年度に加速して行うため、実験補助員を雇用する予定である。
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