研究課題/領域番号 |
15K09979
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
季 斌 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 主任研究員(任常) (80392223)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経炎症 / TSPO / PET / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
1.マーモセット病態モデルにおけるTSPO生体イメージング: マーモセットの左線条体にキノリン酸を脳内注射し、キノリン酸傷害モデルを作成した後、新規リガンド18F-FEBMPを用いて、TSPOの発現誘導を調べた。その結果、キノリン酸の脳内注射2週間後、反対側に比べ、同側線条体に高い放射活性の集積が認められた。死後脳での解析では、同側線条体においてミクログリア及びアストロサイトの形態的活性化が観察された。これはPET画像で得られた結果と一致した。 2. マカクザルにおけるTSPO生体イメージング: 18F-FEBMPを用いて、正常マカクザル脳内TSPOの発現誘導を調べた。その結果、18F-FEBMPは90分の撮影時間内、脳内リガンドの濃度は上昇し続け、平衡に達したことがなかった。マカクザルにおけるリガンドの脳内カイネティクスはマウスやマーモセットでの脳内動態と大きく異なることが明らかになった。18F-FEBMPのヒト脳内動態を予測するために、既に臨床に使われている18F-DPA714のマカクザル脳内動態を調べた。その結果、18F-DPA714は18F-FEBMPより遙かに速くwashoutされたことが明らかになった。これまで、ヒトの種々TSPOリガンドの脳内動態はマカクザルとよく類似することを考慮すると、18F-FEBMPをそのまま臨床応用することが難しく、ヒトに使うにはリガンドの改良を行う必要があると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、霊長類におけるTSPOの生体イメージングを終えた。
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今後の研究の推進方策 |
18F-FEBMPはマウス、マーモセットモデルにおいて高い感度でグリア細胞に誘導されているTSPO発現をとらえることができたが、よりヒトの脳に類似するサルの脳では、既存リガンドに比べ、その優位性が認められなかったことを受けて、18F-FEBMPの化学構造の改良を行い、齧歯類、霊長類モデルで検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度の実験は計画通り実施されたが、H27年度に発生した動物飼育のトラブルにより、予定していた動物実験が実施されなかったことにより生じた剰余金は残っている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は研究計画の最終年度なので、研究を加速して行う予定である。
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