本研究では、呼吸性移動腫瘍に対するスポットスキャニング陽子線治療に焦点を当て、実際に照射された物理線量分布を正確に算出するための方法論を構築した。これを、別途開発したシステムに搭載し、患者への日々の実績投与線量評価を可能にした。また、生物学的影響を含めた治療効果を評価するために、患者体内のLET分布を短時間で計算する解析アルゴリズムを開発した。一般的に用いられてきたモンテカルロ法と比較して、格段に短時間で、同程度の計算精度が達成されることを確認した。最後に、治療効果に影響する因子として線量率に着目し、体内各位置における線量率構造を算出するための仕組みを構築することで、将来的な発展に備えた。
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