• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

炭素イオン線照射した悪性脳腫瘍細胞の走行性における細胞間相互作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K09988
研究機関群馬大学

研究代表者

吉田 由香里  群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90431717)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード放射線 / 悪性脳腫瘍 / バイスタンダー効果 / 神経細胞
研究実績の概要

本研究は放射線による脳腫瘍細胞間および脳正常細胞/組織と脳腫瘍細胞の間のバイスタンダー効果について調べることを目的とした実験である。今年度は、放射線照射したグリオーマ細胞が培地を介して非照射のグリオーマ細胞または神経細胞の増殖能や細胞死・形態変化に与える影響について解析を行った。
正常細胞はマウス海馬から採取して初代培養した成熟期に達した(DIV21)神経細胞を用い、グリオーマ細胞はLN18およびT98Gを用いて実験を行った。
まず、神経細胞とグリオーマ細胞を共培養する目的で神経細胞用の培地でグリオーマ細胞を培養した結果、増殖スピードが4~5倍、減少することが分かった。次に、神経細胞用培地で培養したグリオーマ細胞にX線を10Gy照射して5日間培養した後、この培地を用いて2種のグリオーマ細胞を培養した結果、どちらのグリオーマ細胞においても、置換後3日間は非照射の神経細胞用培地に置換したグリオーマ細胞に比べて、照射した培地で置換した細胞のほうが増殖が亢進する傾向にあることがわかった。このことから照射後の培地には細胞増殖を亢進させるような何らかの因子が含まれている可能性があると考え、現在、詳細な解析を進めている。
次に、グリオーマ細胞をX線照射して培地を回収し、その培地を用いて神経細胞を培養した結果、神経細胞に細胞死が誘発された。非照射の培地で置換培養した神経細胞にはこのような現象が認められなかったことから、照射したグリオーマ細胞の培地中には神経細胞死を誘発する何らかの因子が含まれている可能性があると考え、引き続き、詳細な解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年度、出産したことで、昨年度予定していた実験を今年度実施している。また、育児等で想定していた研究時間が得られていない。当初の計画よりも遅れているが、これまで得られている成果では想定していた結果が得られていることから、予定期間内には期待している成果が得られるものと考えている。

今後の研究の推進方策

昨年度および今年度実施できなかった研究内容について早急に実施する。また、育児等で研究時間が制限される場合には、大学の男女共同参画に関わる研究活動支援を活用したり、研究補助員を雇用することで、滞りなく研究が出来るような環境作りをする。

次年度使用額が生じた理由

育児等により実験を予定通り遂行することが出来なかったため。

次年度使用額の使用計画

今年度予定していた組織培養をするための備品の購入費および消耗品に充当し、予定している実験を早急に進める。状況によっては研究補助員を雇用するための費用に充当する。結果が得られた場合には、放射線や神経関連学会での成果発表を行うための経費に使用する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Development and performance evaluation of a three-dimensional clinostat synchronized heavy-ion irradiation system.2017

    • 著者名/発表者名
      Ikeda H, Souda H, Puspitasari A, Held KD, Hidema J, Nikawa T, Yoshida Y, Kanai T, Takahashi A.
    • 雑誌名

      Life Sci Space Res (Amst).

      巻: 12 ページ: 51-60

    • DOI

      10.1016/j.lssr.2017.01.003

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Carbon ion irradiation abrogates Lin28B-induced X-ray resistance in melanoma cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Park SJ, Heo K, Choi CW, Yang K, Adachi A, Okada H, Yoshida Y, Ohno T, Nakano T, Takahashi A
    • 雑誌名

      J Radiat Res.

      巻: 印刷中 ページ: -

    • DOI

      10.1093/jrr/rrx022

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Mitotic catastrophe is a putative mechanism underlying the weak correlation between sensitivity to carbon ions and cisplatin.2017

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi D, Oike T, Shibata A, Niimi A, Kubota Y, Sakai M, Amornwhichet N, Yoshimoto Y, Hagiwara Y, Kimura Y, Hirota Y, Sato H, Isono M, Yoshida Y, Kohno T, Ohno T, Nakano T.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 7 ページ: 40588

    • DOI

      10.1038/srep40588

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] BRCA1 Directs the Repair Pathway to Homologous Recombination by Promoting 53BP1 Dephosphorylation.2017

    • 著者名/発表者名
      Isono M, Niimi A, Oike T, Hagiwara Y, Sato H, Sekine R, Yoshida Y, Isobe SY, Obuse C, Nishi R, Petricci E, Nakada S, Nakano T, Shibata A.
    • 雑誌名

      Cell Rep.

      巻: 18 ページ: 520-532

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2016.12.042

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Relation between LET dependency and NHEJ repair in cell survival parameter2017

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Y, Takahashi A, Ando K, Yakoh T, Nakano T
    • 学会等名
      The 7th International Society of Radiation Neurobiology Conference
    • 発表場所
      湯沢
    • 年月日
      2017-02-09 – 2017-02-10
    • 国際学会
  • [学会発表] マウス悪性黒色腫に対するX線照射の局所制御効果とサイトカイン発現量との関連2017

    • 著者名/発表者名
      吉田由香里、石川仁、高橋昭久、櫻井英幸、中野隆史
    • 学会等名
      第19回癌治療増感シンポジウム
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2017-02-03
  • [学会発表] 炭素線分割照射治療におけるマウスモデルを用いた治療効果比の評価2016

    • 著者名/発表者名
      吉田由香里
    • 学会等名
      JASTRO第29会学術大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-11-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 小脳培養切片を用いた正常脳の発達に及ぼす重粒子線の影響解析について2016

    • 著者名/発表者名
      吉田由香里、舟山知夫、中野隆史、高橋昭久
    • 学会等名
      日本宇宙生物科学会第30回大会
    • 発表場所
      愛知
    • 年月日
      2016-10-13 – 2016-10-15
  • [学会発表] 炭素イオン線がん治療の分割照射における治療効果比の基礎的検討2016

    • 著者名/発表者名
      吉田由香里、安藤興一、小池幸子、鵜澤玲子、池田裕子、八高知子、高橋昭久、金井達明、中野隆史
    • 学会等名
      第54会生物部会学術大会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-07-16
  • [学会発表] 細胞生存パラメータのLET依存性とNHEJ修復との関係2016

    • 著者名/発表者名
      吉田由香里、高橋昭久、安藤興一、八高知子、舟山知夫、中野隆史
    • 学会等名
      第22回がん治療増感研究会
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      2016-07-02
  • [備考] 群馬大学重粒子線医学研究センター

    • URL

      http://heavy-ion.showa.gunma-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi