研究課題
本研究は放射線による脳腫瘍細胞間および脳正常細胞/組織と脳腫瘍細胞の間のバイスタンダー効果について調べることを目的とした実験である。今年度は、放射線照射したグリオーマ細胞が培地を介して非照射のグリオーマ細胞または神経細胞の増殖能や細胞死・形態変化に与える影響について解析を行った。正常細胞はマウス海馬から採取して初代培養した成熟期に達した(DIV21)神経細胞を用い、グリオーマ細胞はLN18およびT98Gを用いて実験を行った。まず、神経細胞とグリオーマ細胞を共培養する目的で神経細胞用の培地でグリオーマ細胞を培養した結果、増殖スピードが4~5倍、減少することが分かった。次に、神経細胞用培地で培養したグリオーマ細胞にX線を10Gy照射して5日間培養した後、この培地を用いて2種のグリオーマ細胞を培養した結果、どちらのグリオーマ細胞においても、置換後3日間は非照射の神経細胞用培地に置換したグリオーマ細胞に比べて、照射した培地で置換した細胞のほうが増殖が亢進する傾向にあることがわかった。このことから照射後の培地には細胞増殖を亢進させるような何らかの因子が含まれている可能性があると考え、現在、詳細な解析を進めている。次に、グリオーマ細胞をX線照射して培地を回収し、その培地を用いて神経細胞を培養した結果、神経細胞に細胞死が誘発された。非照射の培地で置換培養した神経細胞にはこのような現象が認められなかったことから、照射したグリオーマ細胞の培地中には神経細胞死を誘発する何らかの因子が含まれている可能性があると考え、引き続き、詳細な解析を進めている。
4: 遅れている
昨年度、出産したことで、昨年度予定していた実験を今年度実施している。また、育児等で想定していた研究時間が得られていない。当初の計画よりも遅れているが、これまで得られている成果では想定していた結果が得られていることから、予定期間内には期待している成果が得られるものと考えている。
昨年度および今年度実施できなかった研究内容について早急に実施する。また、育児等で研究時間が制限される場合には、大学の男女共同参画に関わる研究活動支援を活用したり、研究補助員を雇用することで、滞りなく研究が出来るような環境作りをする。
育児等により実験を予定通り遂行することが出来なかったため。
今年度予定していた組織培養をするための備品の購入費および消耗品に充当し、予定している実験を早急に進める。状況によっては研究補助員を雇用するための費用に充当する。結果が得られた場合には、放射線や神経関連学会での成果発表を行うための経費に使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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