従来、放射線治療に反応せず照射野外に浸潤あるいは転移した腫瘍に関しては放射線抵抗性として片付けられてきた。しかし、これは現状での認識の限界を示しているにすぎない。放射線照射に伴う”遊走・浸潤”による機序や、これを抑止し阻害するための方策の手掛かりが解明されていないからである。また、放射線によるがん研究の多くが腫瘍細胞のみに着目しており、放射線治療に伴う腫瘍の生物学的効果は周囲の正常細胞/組織が密接にかかわっている可能性があることが考慮されていない。本研究から新たな知見を得ることは、脳腫瘍だけでなく、がんの治療戦略を考える上で非常に重要なものである。
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