研究課題
研究目的は、局所進行子宮頸癌患者に対するMulti-modality Image-guided brachytherapy(MMIGBT)の確立であり、具体的には次の2点である。1.小線源治療と同一寝台上におけるエコー画像に基づく高線量率小線源治療システムの完成従来の簡素な2次元腔内照射から、現在CTに基づく 3次元画像誘導小線源治療(CT-based 3D-IGBT)に移行しつつある。しかし、アプリケーター装着状態でCT画像を取得することが診療上困難であることも3D-IGBTに速やかに切り替わらない一因と考えられる。本件を解決すべくエコー画像に基づく高線量率小線源治療システムを開発する。2.組織内照射併用腔内照射用アプリケーターの開発ならびに同システムに対応したアプリケーターを作成する。現在の画像誘導小線源治療はタンデム・オボイドといった定型的アプリケーターと必要に応じ、組織内照射用アプリケーターを追加して線量分布の改善を図る。組織内照射用アプリケーターは経腹エコーまたは経直腸エコーを用いてリアルタイムに位置確認される。組織内用アプリケーターの必要な本数・線源配置などの適応基準は確立されていない。特に組織内用アプリケーターの刺入位置・方向・深さに関しては経験のある治療医の主観に委ねられている現状である。小線源治療室にて子宮頸癌患者に対してアプリケーター挿入直前に経腹エコーまたは経直腸エコーを行い、3D再構築エコー画像を用いて、組織内用アプリケーターも含めて、各アプリケーターの最適な挿入・刺入、そして治療計画が同一寝台上で完結させることができれば、同室CTを使用せずとも高精度IGBTの施行が可能となる。平成27年度は、3次元再構築エコー画像上に現行CT-Based IGBTの再現性確認を行う。
2: おおむね順調に進展している
27年度は3次元再構築エコー画像上に現行CT-Based IGBTの再現性確認である。具体的には以下のとおりである。対象は根治的放射線治療を行う局所進行子宮頸癌6症例である。各症例計4回の小線源治療時に通常行っている経腹エコー画像に加え、BK medical ultrasoundによる経直腸エコー画像をともに水平断、矢状断で複数取得する。経腹エコー画像はOsirix上で3次元再構成画像を作成する。一方、経直腸エコー画像からは、当院所有の前立腺癌低線量率小線源治療プログラムを子宮頸癌用に研究分担者がすでに応用開発したオリジナルソフト上で3次元再構成画像を作成、治療計画を行う。平成26年度時点では上記処理を小線源治療中に行うことは困難である。そのため、経腹エコー画像および経直腸エコー画像から作成された3次元再構成画像上に、実際にCT-basedで行われた小線源治療を治療終了後に再現し、治療計画ソフトOncentra BrachyによるCT-based IGBT治療計画線量分布との差異を検証する。また、初回腔内照射前に非金属製タンデムを挿入状態で骨盤部MRI画像を取得しておく。このMRIT2強調画像のHRCTVおよびGTVを当院所有の自動変形レジストレーションソフトウェアVelocity AIを利用し、エコー画像上にdeformable registrationさせる。これにより両画像のHRCTVおよびGTVとの差異を検証する。
【平成28年度】1.最適化線量分布表示システム構築2.組織内照射併用腔内照射対応アプリケーターの開発【平成29年度】マルチモダリティ画像誘導小線源治療の安全性確認臨床試験開始
一連の画像処理においては、特に子宮全体およびHRCTVの輪郭描出の難易度が高く、補助員を要するが、適任者が不在であった。
次年度は適切な補助員採用後にに画像処理作業を精力的に進める予定である。
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