研究課題
本研究は口腔扁平上皮癌患者に対し、治療後の生活の質を高く維持できる小線源治療の適応拡大のために、小線源治療には不向きとされている腫瘍厚のある症例に対し、導入化学療法としてティーエスワンの服用を行った後に小線源治療を施行する集学的治療の安全性と効果を評価する前方視的臨床研究である。本学医学部倫理審査委員会承認後の平成27年度より症例登録を開始し、平成27年度に7例登録を行い、平成28年度はその7例の経過観察を継続するとともに、あらたに6例の症例登録を行った。現在までにCTCAE v4.0でのGrade 3以上の有害事象は認めておらず、本研究のprimary endpointである副作用の発生頻度は従来の小線源治療単独療法と比較しても差がないと判断している。Secondary endpointsである治療効果に関しては、局所制御率は従来と差を認めないものの、導入化学療法の施行回数によって後発頸部リンパ節転移の発生頻度に差がみられており、今後の追跡調査の結果によって導入化学療法併用小線源治療の有効生が示唆される可能性がある。平成28年度末にこれまでの成果から口腔癌小線源治療のパンフレットを作成した。平成29年度はそれを用いて患者説明を円滑に行い、本研究への登録も継続し症例を増やす予定でいる。また平成29年度は平成27年度、平成28年度に登録された症例の経過観察を行うとともに、安全性と治療効果の評価および解析を行い結果を学会等で報告する。
3: やや遅れている
平成27年度に20例の症例登録を予定していたが、平成28年度までに13例しか登録されていない。小線源治療患者数自体が減少傾向にあり、また小線源治療目的に紹介される患者の多くが高齢や合併症が理由であり、適格条件から外れる症例が予想より多くなった。
平成28年度までに本研究に登録した患者において重篤な有害事象は見られず、さらに頸部リンパ節転移の発生率が低減されていることから、平成29年度は平成28年度に作成したパンフレットを用いて口腔癌小線源治療を説明し本研究への登録を積極的に勧める。また平成27年度、平成28年度の登録症例の経過観察の継続と、安全性と治療効果に関する評価および解析の結果を学会等で報告する。
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