研究課題/領域番号 |
15K09992
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松尾 幸憲 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80456897)
|
研究分担者 |
中村 晶 京都大学, 医学研究科, 助教 (40708591) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 慢性炎症 / サルコペニア / 肺癌 / 燃え尽き症候群 |
研究実績の概要 |
局所進行非小細胞肺癌に対し化学放射線療法を施行した89症例を対象に治療前の全身炎症所見・栄養状態・体格指数・筋肉量指標などと予後の関係について検討した。その結果、治療前に全身炎症所見を認める症例(CRP高値)および体格指数が低い(BMI<18.5)症例で予後不良の傾向にあり、この両者を組み合わせるCRP-BMI scoreを作成した。現在論文投稿中である。 早期肺癌の体幹部定位放射線治療(SBRT)186例を対象にサルコペニアと予後の影響について検討したところ、サルコペニアは非肺癌死と有意な相関が認められた。前年度の結果(慢性炎症スコアのmGPSが肺癌死と相関する)と合わせて、早期肺癌SBRTの多施設共同臨床試験JCOG0403に同様の解析を提案し承認された。同試験のデータ(手術可能60例と不能92例)を用いて評価を行ったところ、慢性炎症が手術可能例において肺癌死と、サルコペニアが手術可能例における有害事象と、それぞれ関連が示唆された。この結果は世界肺癌会議にてポスター発表を行った。 研究テーマがやや異なるが本基金のサポートにより、放射線腫瘍医における燃え尽き症候群の実態について87名の協力を得てアンケート調査を行った。燃え尽き症候群は20.6%に見られ、うち3.4%は重症と考えられた。燃え尽き症候群に関連する因子として、精神不健康、緩和ケア業務、治療担当数が挙げられた。この結果はJ Radiat Res誌に論文発表された。我が国の放射線腫瘍医における燃え尽き症候群の検討は本研究が初めてのことである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
自施設のデータを用いた解析は順調に進み、一定の結果を得ることができた。更に多施設試験のデータを用いることもでき、より説得力のある結論が得られた。 また、燃え尽き症候群に関しても研究範囲を拡げることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までの検討で十分なデータを得ることができた。今年度は解析結果をまとめ論文発表につなげることを目標とする。また、次年度以降の研究発展につなげるため、画像以外のサルコペニア評価法を調査する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度PC購入の見送りおよび今年度は海外発表の1回見送りがあり、残額が生じた
|
次年度使用額の使用計画 |
最終年度は論文発表や学会発表などが多く、英語校正費用や旅費が当初予定より多くかかる見込みである。
|