研究実績の概要 |
本研究は、子宮頸癌幹細胞における放射線抵抗性機序の解明を行い、癌幹細胞を標的とした新規放射線治療法の開発に向けての基盤を構築することを目的とする。申請者は、子宮頸癌細胞においてZsGreen-degronを用いて子宮頸癌幹細胞群の可視化、同定を行うことに成功した。本研究は、これらの可視化子宮頸癌幹細胞を使用し、子宮頸癌幹細胞の放射線耐性機序の解明、ひいては癌幹細胞を標的とした新規治療法の開発を目指した研究である。 まず、子宮頸癌幹細胞における放射線耐性機序の解明を進めた。具体的には、癌幹細胞群、非癌幹細胞群におけるDNA repair、ROS、Self-renewaに関連する遺伝子や蛋白発現の検討を行った。次に、確認できた子宮頸癌細胞の放射線抵抗性に関与する経路をウイルスベクターを用いてノックダウンあるいは過剰発現させた細胞に放射線照射を行い、放射線抵抗性のメカニズムの解明を目指した。更に、Helaの癌幹細胞、非癌幹細胞において、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、mRNAでは43の遺伝子、miRNAでは5つにおいて4倍以上の発現変化が認められた。具体的にはmRNAでは、ADAMT55, FRMD3, COL8A1, miRNAはhas-miR-377-3p、has-miR-654-3p等である。mRNAに関しては、up-regulationのFOXF1, down-regulationしているPOSTINに着目した。miRNAに関しては、miR-654-3pでは、Data from the Cancer Genome Atlas (TCGA)のデータを使用した予後解析の検討では、高値群では定値群と比較して優位に予後が良好であった (p < 0.05)。 今後は、臨床検体を用いて、同定遺伝子発現の程度と予後との関連の検討も行う予定である。
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