研究課題
消化管を防護することによる有害反応の軽減は新規がん放射線治療の成否に繋がるが、食欲低下や下痢等の腹部放射線療法に関連する消化器症状に関しては、その分子機序や標的細胞が不明なことが多い。我々はこれまでレドックス制御に着目し、放射線照射に対する消化管の標的細胞とその機序、防護法を見出してきたが、本申請では放射線療法による消化管有害反応の標的細胞の評価方法を確立し、腹部悪性腫瘍に対する放射線療法にて消化管症状を有する患者血液をメタボロミクス解析し、その改善のためのプロフィラクティック食品化合物の絞り、還元型Coenzyme Q10が非常に有効であるとの実験結果を得た。その上で還元型Coenzyme Q10が放射線照射による消化管障害を防護する事を実証した。また、それらの研究の過程において還元型Coenzyme Q10の投与方法が非常に重要であることを発見した。つまり単発的に高濃度の投与をするよりも、長期的に持続して投与する方が防護効果が高いことを証明した。更に、その還元型Coenzyme Q10の消化管防護作用は体重減少や生存率に寄与することを実証し得た。また、臨床応用を検討するにあたり、還元型Coenzyme Q10が腫瘍に対する放射線の効果を減弱しないことが重要となるが、数種類のヒト癌細胞を用いたIn vitro試験とヒト膵臓癌細胞を用いたIn vivo試験の結果から、還元型Coenzyme Q10は放射線照射の抗腫瘍効果を減弱しないことを確認できた。これらの結果を踏まえて臨床試験の申請書作りに着手している。
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Kobe J Med Sci.
巻: 63(3) ページ: E84-E91