研究課題
本研究では、超高線量率の白色X線の短時間照射(FLASH照射)を用いて、高精細格子状に放射線を照射することにより、正常組織・腫瘍組織がそれぞれどのような反応を占めるか、in vitro および in vivo 実験にて解明を行うことを目的としている。今年度は、白色X線の超高線量率FLASH照射を用いて、高精細格子状照射後の正常組織および腫瘍組織に対する実験を行った。ビーム幅25μm、ビーム間隔200μm、ピーク線量120Gy/secのマイクロビームを創出し、照射時間を変化させ照射を行った。また、ブロード照射は線量率120Gy/secで照射時間を変化させ照射を行った。呼吸性移動を考慮し、ビーム間隔400μmのスリット照射に関しても検討した。肺転移モデルマウスを用いた実験では、生存率の結果ではブロード照射36Gyの中央生存期間に差はなかった。組織学的評価では、スリット状照射120Gyの照射側の肺の腫瘍は顕著に縮小しており、非照射側の転移性肺腫瘍が生存率に影響した可能性が考えられた。正常肺に対する検討は正常マウスを用いて両側肺に対してスリット照射を行い検討した。ビーム幅25μm、ビーム間隔200μmまたは400μmのスリット照射では、長期生存が得られ、FLASH照射では肺障害等の副作用が起こりにくいことが予想された。組織学的検討ではビーム通過部位に一致して、DNA2重鎖切断が起こっていたが、非照射部の炎症等は見られず、スリット状FLASH照射では肺障害は起こりにくいことが示唆された。
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