研究課題/領域番号 |
15K09999
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
澁谷 景子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50335262)
|
研究分担者 |
川村 慎二 山口大学, 医学部附属病院, 副診療放射・エックス線技師長 (10543291)
椎木 健裕 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30610456)
澤田 晃 京都医療科学大学, 医療科学部, 教授 (80543446)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 高精度放射線治療 / 画像誘導放射線治療 / 呼吸移動対策 / 動体追跡照射 |
研究実績の概要 |
SyncTraxを用いた動体追跡放射線治療において迎撃照射を有効に施行しようとする場合に、線量率を上げることが臨床上有効と考えられる。当院に導入された新型動体追跡装置においては高線量率照射の可能なフラットニングフィルタフリービーム(FFF)が使用可能となっている。ただしそのビームプロファイルは従来のビームと異なるため、FFFの使用が線量分布に及ぼす影響について十分に検討が必要と考えられた。 そこで、早期肺癌に対し体幹部放射線治療(SBRT)を施行した10例について、FFFの使用が種々の線量パラメータに与える影響を検討するためプラニングスタディを行った。各症例について迎撃照射法(gating)とinternal target volume(ITV)法(non-gating) およびisocenter(IC)処方とplanning target volume(PTV)-D95処方の4プランを作成し、従来のフラットニングフィルタ有りのビーム(FF)と比較した。PTVサイズ平均値はgating(+)群で38.5cc, gating(-)群で50.6ccであった。PTV内最大線量, 平均線量はFFF群がFF群より有意に減少(差はほぼ2.5%未満)したが、PTV内線量均一性は両群で差を認めなかった。正常肺線量はFFF群がFF群より低かった。次に各パラメータについてFFF/FF間の差とPTVサイズの関係を検討した。IC処方プランにおけるPTV-D95%はPTVサイズと強い負の相関を認めた。ただしPTVサイズの極端に小さな症例では線量計算精度の誤差がパラメータ値に大きな影響を与えている可能性も考えられた。以上より、PTV 100cc未満の小さい肺腫瘍に対するSBRTにおいてFFFはFFと比較しほぼ同等であると考えられた。よりサイズの大きな腫瘍については更なる検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度予定していた腫瘍近傍に留置した体内マーカの動きをサロゲートとした新しい4DCTの撮影法の開発が計画よりも遅れている。CT画像のRawデータ情報の収集に時間を要しており、計画が進んでいない。しかし、体内マーカの動きを抽出するアルゴリズムの開発は進んでおり、画像情報が入集でき次第、CT画像へ適応予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
体内マーカの動きを抽出するアルゴリズムの開発は進んでおり、Rawデータ情報を入手次第、CT画像へ適応し、体内マーカの動きの抽出を行う予定である。また、そのデータを使用することで、従来のデータを使用して再構成された4DCTと考案した手法により取得されたデータを使用して再構成された4DCT画像の比較を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究の情報収集のために、研究費の使用を主に行った。また、CT画像のRawデータの情報収集に時間を要しており、データ解析用のワークステーションの購入を見送ったため未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
開発したアルゴリズムを用いて、解析を行うためのワークステーションを計上する。
|