研究課題/領域番号 |
15K10001
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
染谷 正則 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60404711)
|
研究分担者 |
長谷川 智一 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80631168)
後町 俊夫 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80723402)
松本 健一 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60750461)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 放射線 / 放射線治療 / バイオマーカー / 治療効果予測 / 有害事象予測 |
研究実績の概要 |
平成27年度から引き続き、腹部~骨盤部への放射線治療を行った膵癌・直腸癌・子宮頸癌・前立腺癌などの約170名の患者より血液を採取し、血清やリンパ球などの試料を分離採取した。またDNA-PK活性測定、放射線誘発ガンマH2AXフォーカス測定、mRNA/miRNA発現解析に必要なサンプルの分離調整を行った。 ここまでの研究概要と研究成果について、平成28年7月の日本放射線腫瘍学会生物部会、10月の日本医学放射線学会北日本地方会、11月の日本放射線腫瘍学会学術大会、平成29年2月のQuantum Medicine研究会などで発表した。 前立腺癌患者のリンパ球のDNA-PK活性を測定する事で、PSA再発を起こしやすい患者群を同定でき、またDNAA-PK活性が低いと晩期の尿路有害事象を起こしやすい事を報告した。これらのDNA-PK活性に関する研究は「Journal of Radiation Research」誌に受理、掲載された。 前立腺癌患者の放射線治療による急性期の消化器および尿路有害事象の、mRNA/miRNAを用いた予測に関しては、特に消化器の有害事象に関してはmiRNA発現を調べる事でより高い精度で予測が可能である事が判明し、現在「Oncotarget」誌に投稿、レビューアーのコメントを受けて、独立した患者群での予測再現性を検証するためのValidation studyを行い、再投稿の準備中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この1年間に、膵癌・直腸癌・子宮頸癌・前立腺癌といった腹部~骨盤部の悪性腫瘍に対し、放射線治療を施行した患者約70名より血液を採取し、mRNA/miRNA発現解析用の血清およびリンパ球分離と、DNA-PK活性、ガンマH2AXフォーカス観察用のサンプルを収集した。 前立腺癌患者のリンパ球のmiRNA発現解析と、膵癌・直腸癌・子宮頸癌患者のDNA-PK活性測定、ガンマH2AXフォーカスの計測を開始しており、おおむね予定通りの進捗状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きあと50名分程度の、膵癌・直腸癌・子宮頸癌患者からの血液採取を継続して進める。 同時に、収集した全サンプルのDNA-PK活性測定、ガンマH2AXフォーカスの計測を行う。 サンプルが得られた患者群の臨床情報と対比し、局所再発や遠隔転移といった治療効果の予測因子と、急性期・晩期有害事象に関連するバイオマーカーの同定を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
サンプル収集を優先させており、研究計画に差し支えない事を前提に、一部の試薬購入を次年度に見合わせたためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度に購入しなかった試薬を購入し、その他は概ね計画通りに使用する。
|