研究課題/領域番号 |
15K10020
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石丸 哲也 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (00633629)
|
研究分担者 |
岩中 督 東京大学, 医学部附属病院, 名誉教授 (90193755)
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60528438)
光石 衛 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90183110)
杉田 直彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70372406)
原田 香奈子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (80409672) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 内視鏡手術 / 手技評価 / 小児 / トレーニング / スコピスト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,スコピストの技量を定量的に評価するシステムを構築し,スコピストとして必要な技術を習得するためのトレーニングシステムを開発することである.平成28年度は,前年度に作成したシステムを用いて,スコピストの手技評価実験を行った. 乳児サイズのドライボックス上面中央から30°斜視鏡を挿入し,乳児骨盤内手術を模した下記タスクを設定した.①左右ワーキングポート挿入部に配置したマーカーを捕捉して静止.②底面上の正面およびその左右に配置されたマーカーを補足して静止.③左側面,正面,右側面上の水平線を,水平を保ちながら描出・移動する.学会に出展して被験者を募り,タスク終了後にアンケート調査を行った.また,手技時間を計測した. 被験者52人中,初期研修医5名が含まれていた.ボックスのサイズ,スコープ挿入位置,タスク設定が臨床と似ているかというアンケート結果(5点満点)は,それぞれ4.0, 3.9, 3.6であった.本システムがスコピストの手技評価として,初心者のトレーニングとして,被験者自身のトレーニングとして有用かという質問の結果は,4.1, 4.3, 4.2点であった.全タスク遂行時間は研修医群(508秒)が非研修医群(269秒)よりも長く(p = 0.04),マーカー捕捉タスク合計時間(①,②の合計)は研修医群(244秒)が非研修医群(124秒)よりも長かったが(p = 0.04),③のライン描出タスク遂行時間に両群間で有意差を認めなかった. アンケート結果からは,本システムはスコピストの手技評価及びトレーニングに有用な可能性があり,ボックスサイズは臨床と類似していたが,スコープ挿入位置とタスク設定に改善の余地があった.タスク遂行時間は研修医において長く,研修医と非研修医の間にスコピストとしての技術の差があった.マーカー捕捉はライン描出よりも難しかった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は,昨年度開発したシステムおよびタスクが,スコピストの手技評価に妥当なものであるかどうかを評価した上で,スコピストのトレーニングツールとして有用かどうかを評価する実験も行う予定であったが,妥当性評価実験において改善の余地があることが判明し,有用性評価実験には進めなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は,まず,平成28年度に行ったスコピスト手技評価システムの妥当性実験で明らかとなった改善点を修正し,再度妥当性評価実験を行う.また,考案したタスクがトレーニングとして有用かどうかを評価する実験も行いたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
妥当性評価実験を行った学会会場が近隣であったため,実験器具の運搬費や交通費が当初予測よりも安価で済んだこと,また,学会側の配慮により出展費用が予測よりも安価で済んだ. また,有用性評価実験に進めなかったことから,費用がかさまなかったために次年度使用額が生じた.
|
次年度使用額の使用計画 |
主にシステムの改良費に充てる予定. また,最終年度であることから,成果発表用に用いる予定.
|