研究課題/領域番号 |
15K10022
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
羽根田 正隆 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 研究員 (50436995)
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研究分担者 |
小林 孝彰 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70314010) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | RNA干渉 / 超可変領域 / 形質細胞 / 慢性抗体関連型拒絶反応 / donor specific antibody |
研究実績の概要 |
概要:ヒト抗A IgM抗体産生株HB8534対するsiRNAの抗体産生に与える抑制効果を検討した。HB8534 hybridomaより得られたIgHのの遺伝子情報より超可変領域のCDR2および3に対するsiRNAを設計した。ヒト抗A IgH mRNAの発現量およびIgM抗体産生量の抑制効果を検討した。 方法:siRNAは細胞内での安定性が高く、細胞毒性が低いThermo Fisher社のstealth siRNAを使用した。HB8534 hybridomaに対する抗体産生抑制についてIgH mRNAおよび抗A IgM抗体産生の抑制作用を検討した。またトランスフェクション試薬としてGenomeONE-Siを使用した。 結果:投与後24h,48h,72hで抑制効果を検討したところ24hではIgH mRNAの発現抑制効果が認められたが、48h以降では抑制効果が認められなかった。24h後の時点でIgH mRNAでは約25%抑制効果が認められた。抗A IgM抗体産生は24h後に約30%の抑制効果が認められたが、陽性コントロールとして使用したGAPDH stealth siRNAでも約20%の抑制効果が認められた。 考察:培養細胞株は増殖してゆくため、時間経過とともにsiRNAの相対量が減少するため、投与後短い時間の場合にのみ抑制効果が認められた。GAPDHでも抑制効果が認められたのはdouble strand RNAによるoff-target効果と考えられた。stealth siRNAは特異性が高いとされているがGAPDH siRNAでも抑制されており25ntと比較的長いためと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異動に伴い、実験系のセットアップに時間を要した。 またsiRNAの抗体産生抑制効果を認めたものの、腫瘍細胞を対象にしているため一過性にしか効果が認められなかった。この研究では重鎖および軽鎖のCDRをsiRNAとする事で目的の抗体産生細胞に特異的な抑制効果を狙うものであるが、腫瘍性増殖をする細胞を使用すると持続した効果が認められないため、CDR特異的なsiRNA効果を検討する研究に加え、新たに形質細胞に対する抗体産生抑制効果を検討する研究が必要と判明した。
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今後の研究の推進方策 |
研究結果を踏まえ、以下のような対策を行う。 ①より短いsiRNAを作成する事などにより、特異性の高い抗体産生抑制効果のための詳細な条件検討を行う。 ②CDR特異的なsiRNA効果についてはハイブリドーマ等の腫瘍性増殖をする細胞を使用し現在までの計画を続行する。 ③末梢血より分離した形質細胞を用いてsiRNA効果を検討し、IgGのサブクラス特異的な抗体産生抑制効果をエンドポイントとし、形質細胞に対する抗体産生抑制効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な試薬はあったものの、1,300,000円を超えない様に調整したため。
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次年度使用額の使用計画 |
年度を超えてすぐに発注を行ったため、研究に遅れは生じていない。
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