研究実績の概要 |
本研究は、臓器移植においてアロT細胞応答の個体差に制御性T(Treg)細胞の制御機能がいかに関連するかを解明するために、Treg細胞のマスター遺伝子であるFoxp3の一塩基多型(SNP)と移植後の拒絶反応、ウイルス性肝炎、発がん等との関連性を解析し、移植後の個別化免疫抑制療法を行う上で、Foxp3-SNPが有益なゲノム情報となりうるかを明らかにすることを目的とする。これまでの研究において、Foxp3の3種類のSNP(Rs3761547, Rs3761548, Rs2232365)の解析を肝臓移植、腎臓移植症例に行った。肝臓移植後の細胞性拒絶反応(ACR)において、FOXP3rs3761548のSNPによるACR発症との関連性は認めなかったが、FOXP3 rs3761548 A/C+A/A genotypeは、C/C genotypeに比べて有意にステロイド抵抗性拒絶反応の発症率が高いことを確認した。移植後の経時的アロT細胞応答と血清サイトカイン評価を行った結果、術後2週間において拒絶症例では、IFN-γ値が非拒絶症例に比べ高値傾向にあったが、有意差にはいたらず、またFOXP3-SNPとサイトカイン産生において相関は認めなかった。
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