研究課題
【目的】免疫チェックポイントの代表であるPD-1 阻害の有用性が多くの臨床腫瘍において証明され,免疫不活化経路阻害が新たな癌治療法として,世界的に注目されている.我々これまでに,種々の癌腫において PD-1 や B7-H3 などの T 細胞不活化経路が重要な臨床的意義を有することを報告してきた.本研究では,これまで独自に蓄積してきた一連の研究成果と,最新の免疫・癌研究の報告を融合・発展させ,新規治療分子のスクリーニングとなる基礎研究を展開した.【方法・結果】新たなT細胞不活化経路として,HVEMに注目し,免疫染色等により検討した.さらに,その臨床病理学的意義を種々の消化器癌において評価した.大腸癌においては,腺腫から腫瘍になるにつれ,HVEM発現は,段階的に高率となっており,発癌や増殖等に関わっていることが示唆された.また大腸癌肝転移症例での検討の結果,現在有意な関連が示唆されており,引き続き,腫瘍内浸潤細胞等との相関を検討しているところである.さらに膵癌をはじめ他の消化器癌においても,検討を継続している.有意な結果の得られたものから,順に腫瘍免疫,腫瘍血管新生,癌細胞周期など,多様なメカニズムの解析を行なっていく予定である.さらにin vitroやin vivoにおいて,siRNA法や抗体を用いた阻害実験を行い,各々の消化器癌に対する新たな治療標的分子となり得る可能性を探求していくことを計画している.他にもCD155やNectin等についても同様の手法を用いた検討を開始しており,いくつかの有意な結果が得られつつある.さらに再現性を確認しつつ,論文投稿を行なっていく予定である.【考察】今後新たな治療標的分子となり得る可能性が示唆された.さらに一連の研究成果を発展させ,新たな癌治療法の開発に向けて,さらに研究を進めていく予定である.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
PLOS ONE
巻: 13 ページ: e0193692
10.1371/journal.pone.0193692
Thromb Haemost.
巻: 118 ページ: 700-708
10.1055/s-0038-1636529.
World J Surg.
巻: 41 ページ: 2068-2077
10.1007/s00268-017-3991-x.
Intraarterial Therapy Using Micellar Nanoparticles Incorporating SN-38 in a Rabbit Liver Tumor Model.
巻: 28 ページ: 457-464
10.1016/j.jvir.2016.10.032.
Cardiovasc Intervent Radiol.
巻: 40 ページ: 438-444
10.1007/s00270-016-1512-1.