研究課題/領域番号 |
15K10037
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
松田 明久 日本医科大学, 医学部, 助教 (00366741)
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研究分担者 |
松谷 毅 日本医科大学, 医学部, 講師 (50366712)
山田 真吏奈 日本医科大学, 医学部, 講師 (70508621)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外科的侵襲 / 炎症性生体反応 / 術後合併症 / リゾフォスファチジルコリン |
研究実績の概要 |
免疫担当細胞が主に担う手術侵襲後の炎症性生体反応は,一定の範囲内であれば生体防御機構としてホメオスターシスの維持に貢献するが,その範囲を越えた過剰な反応はその後の免疫不全(免疫麻痺)から易感染性に陥り術後合併症の要因となる。近年,細胞膜の主要構成成分であるリン脂質の分解産物であるリゾリン脂質は脂質メディエーターと呼ばれ,近年の研究により種々の免疫反応を制御していることが報告されていることから,我々は,このリゾリン脂質に注目し,手術侵襲後の炎症性生体反応の制御と術後合併症への関与に関する検討を継続して行っている。待機的消化器癌手術患者を対象とし,周術期におけるリゾリン脂質であるリゾフォスファチジルコリン(lysophosphatidylcholine: LPC)の血中濃度を測定したところ,1) 術後合併症発症群では,非発症群に比べ有意に低値で推移すること,2) LPC値とIL-6値が逆相関を示すこと,3) LPC値が術後合併症の独立した予測因子であることが明らかになった。LPCは,炎症性サイトカイン産生を抑制し侵襲後の炎症性生体反応を制御することで術後合併症の発症に関与していることが示されつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床症例における手術侵襲後の炎症性生体反応へのリゾリン脂質の関与に関する検討を先行させたため,予定していたマウス手術侵襲モデルを用いた検討がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床症例での解析およびLPC産生の制御因子探索を進めるとともに,マウス手術侵襲モデルを用いた検討に入る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,動物実験に要する経費を必要としなかったため,支出額が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
予定している研究を進めるべく,臨床検体での検討,動物実験,旅費,人件費に使用予定である。
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