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2016 年度 実施状況報告書

トロンボモジュリンによる肝虚血再灌流障害の抑制効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K10041
研究機関公益財団法人田附興風会

研究代表者

寺嶋 宏明  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究主幹 (40314215)

研究分担者 岡島 英明  京都大学, 医学研究科, 准教授 (20308604)
内田 洋一朗  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 主任研究員 (30597745)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードトロンボモジュリン / 肝虚血再灌流障害 / TLR-4 / HMGB-1
研究実績の概要

リコンビナントトロンボモジュリン(rTM)は、播種性血管内凝固異常症の標準治療薬であり、また抗炎症作用を持つことが報告されている。我々は肝虚血再灌流障害におけるrTMの抗炎症作用についてのメカニズム解析を行なっている。マウスのモデルとしては、70%部分肝温虚血を60分行い、再灌流後6時間を中心に各タイムポイントで解析し、また腹腔マクロファージを利用したin vitro実験を行ない、以下の結果が得られた。①野生型マウスにおける肝機能障害および炎症改善効果とtoll-like receptor (TLR)-4ノックアウト(KO)マウスにおける効果の消失 ②野生型とTLR-4 KOマウスにおけるNF-kBを中心としたTLR-4下流シグナル及びhigh mobility group box-1 protein(HMGB-1)発現に対するrTMの影響 ③野生型及びTLR-4 KOマウス由来の腹腔マクロファージをリコンビナントHMGB-1及びrTMで共刺激した場合のTNF-α産生の評価④リコンビナントトロンボモジュリンドメイン1製剤(rTMD1)投与による肝虚血再灌流障害の抑制効果である。すなわち、rTMはHMGB-1とTLR-4による炎症を惹起するシステムを抑制することで抗炎症効果示すことが証明できた。まずはこれらのデータをまとめて報告する方針とし論文化に至った(American Journal of Transplantation: 2017年1月号掲載)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度には、rTMが肝虚血再灌流障害モデルにおいてTLR-4/NF-kBを抑制することを証明した。今年度は追加のin vivo及びin vitro実験を踏まえ、HMGB-1-TLR-4経路を抑制することで、TLR-4/NF-kBのシグナル伝達を抑えることが解明でき、またこれらの結果より国際学術誌に報告することができたことは大きな成果である。

今後の研究の推進方策

論文化に至ったが、rTMがいかにHMGB-1-TLR-4経路を抑制したかという詳細な機構はまだ不明であり、rTMD1のHMGB-1刺激された腹腔マクロファージに与える影響やTLR-4 KOマウスに対する影響について検討する必要がある。また、rTMがHMGB-1-TLR-4経路を抑制した機構を調べるため、まず共免疫沈降法を用いて、rTMとHMGB-1もしくはTLR-4との結合の評価を予定している。

次年度使用額が生じた理由

得られたデータからの論文作成および査読後の追加実験に時間を要し、予定していた実験が十分に行えなかったため。

次年度使用額の使用計画

リコンビナントトロンボモジュリンドメイン1製剤(rTMD1)を用いてのin vivoおよびin vitro実験、また得られたサンプルからの解析に必要なキット・抗体・リコンビナント製剤などの購入などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Thrombomodulin Attenuates Inflammatory Damage Due to Liver Ischemia and Reperfusion Injury in Mice in Toll-Like Receptor 4-Dependent Manner2017

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Kadono, Yoichiro Uchida, Hiroaki Terajima et al.
    • 雑誌名

      American Journal of Transplantation

      巻: 17 ページ: 69-80

    • DOI

      10.1111/ajt.13991

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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