研究課題
リコンビナントトロンボモジュリン(rTM)は、播種性血管内凝固異常症の標準治療薬であり、抗炎症作用を持つことが報告されている。我々は肝虚血再灌流障害(Ischemia and Reperfusion Injury:IRI)におけるrTMの抗炎症作用について解明している。rTMがもつ肝IRIに対する抑制メカニズムに関して、Toll-like Receptor4(TLR-4)に焦点を当てた解析を行ない、その成果を国際学会誌(American journal of transplantation誌:17:69-80, 2017)に報告した。平成30年度(2018年)は、国際学会におけるWalter Brendel awarded sessionにて口演発表に至った。次の解析として、TMの分画に着目し、抗炎症作用を有するとされるdomain1に焦点を置いてdomain1分画製剤(rTMD1)を用いた実験を行なっている。rTMD1製剤の純度調整に時間を要したが、マウス肝IRIモデルにおけるrTMD1投与のIRI抑制効果を確認した。rTMD1投与群と非投与群における肝機能障害、肝組織中の炎症性サイトカイン発現、アポトーシス誘導有無などを検討し、TLR-4ノックアウトマウスを用いてTLR-4との関連性を検討した。さらに、in vitroにおけるrTMD1とTLR-4経路との関連性を検討した。rTMD1と炎症関連タンパク質High-mobility group box 1(HMGB-1)との結合評価を明らかにするために、①Biacore system(分子間相互作用解析装置)②免疫沈降法を用いた2つの方法で検討している。①での結合性につき他のdomain分画との比較検討を行ない、現在②による検証に、再現性を含めて時間を要している。
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すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)