研究課題/領域番号 |
15K10044
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野路 武寛 北海道大学, 大学病院, 助教 (10739296)
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研究分担者 |
平野 聡 北海道大学, 医学研究科, 教授 (50322813)
中村 透 北海道大学, 医学研究科, 助教 (70645796)
岡村 圭祐 北海道大学, 大学病院, 助教 (90724401)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 外科 |
研究実績の概要 |
研究1:ICGによる肝十二指腸間膜―大動脈周囲リンパ流(HDL-PAN)の描出. 背景:ICGを用いたセンチネルリンパ節転移診断は,一部癌腫においては確立された手技となっているが,胆道癌に対する有用性は不明である.目的:ICGを用いたHDL-PANのPDDの可否を検討する.方法:肝十二指腸間膜内リンパ節郭清予定の手術症例を対象とし,開腹後胆嚢頚部付近にICG 2.5mgを局注し,HDL-PANを近赤外線イメージング機器にて観察した.結果:23/34例(68%)の症例にHDL-PANが描出された. 対象症例の中に,大動脈周囲リンパ節転移陽性例を認めなかった.HDL-PANが描出できた全症例に,16b1 inter (頭側・静脈近傍)のリンパ節にICGの集積をみとめ,同部が大動脈周囲の”センチネル”リンパ節である可能性が示唆された. 研究2: 5- ALAを用いた胆道癌腹膜転移診断.背景:5-ALAは細胞内にてプロトポリフィリンIX(PPIX)に代謝されるが,悪性腫瘍ではPPIXの排泄障害を認め,細胞内に蓄積する.PPIXは蛍光作用を有するため,他癌腫において5-ALAを用いたPDDが行われている.目的:胆道癌において5-ALAを用いたPDDの可否を検討する.方法:胆管癌細胞株(TFK-1)を用い腹膜播種モデルをマウスで作成.5-ALAを投与したのちに開腹し,400nmの励起光を照射してPDDを行った.結果:肝転移モデル・腹膜結節モデルともに長径1mm大の病変の発する蛍光を観察可能であった.しかし,消化管・尿路系には5-ALAが生理的に集積するため,同部の表面に存在する病変の描出は不能であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
50例の臨床試験を行う予定としているが、平成29年3月31日現在、43例の症例に臨床試験を行った。またマウスを用いた新規蛍光物質による基礎的研究を行ない、現在論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究をさらに進め、予定数を達成するとともに、結果を英文論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2に用いる5-ALAを発注する予定で手続きを進めており、残金を有していたが、製薬会社から無償提供を受けることができるようになり、2959円を残すことになった。本年は臨床試験を行うこととし、使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度も引き続き臨床研究を行う予定であり、必要な試薬の購入に用いる予定としている。
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