神経内分泌腫瘍(NET)は稀少疾患で教科書的には100万人に数人の病気であるという記載があるが、近年、増加傾向にある。しかしながら、NETのmalignant potentialは解明が難しく、依然として最適な指標はない。2010年分類は血管新生能、浸潤能、転移能といった腫瘍の悪性度を考慮せずに細胞増殖速度だけで悪性度を計ろうとしたが、これは神経内分泌腫瘍の一側面を表現しているに過ぎない。実際、われわれのこれまでの検討ではKi-67や最大腫瘍径よりも、肝転移の有無、リンパ節転移の有無、周囲組織浸潤の有無といった因子が神経内分泌腫瘍の無増悪生存率や全生存率の規定因子として認識できる。われわれは新しいNET肉眼分類を創設し英文誌に報告した。非単純結節型は明らかに生命予後不良であった。この結果を踏まえて、術前画像診断でこれらの肉眼型を判別できるかを調査し、英文誌に投稿しアクセプトを受けた非単純結節型と診断された症例の再発予後はやはり不良であることを示した報告は過去にない。また超進行例と局所に止まる腫瘍の網羅的遺伝子解析を行い、bioinfomaticsの手法を用いて新たなバイオマーカー遺伝子を同定した。このバイオマーカー遺伝子は原発切除術後の再発と生命予後を左右することがわかった。現在、英文投稿中である。また術中造影超音波検査によるparametric imageを用いた悪性度診断も近日中に報告予定である。
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